書評:medium 霊媒探偵城塚翡翠

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今回は「medium 霊媒探偵城塚翡翠」の書評を行います。

いやあすごかった。

この本を知ったのは朝ポン(多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N)の大矢博子の親書紹介のコーナー。

https://hicbc.com/radio/kibun/

大矢さんの書評は素晴らしくて、いつもこんな本の紹介の仕方をしたいなと思っています。

ネタバレせずに聞いている人の興味を引くような本の紹介の仕方ができる方なのです。

そこで「medium 霊媒探偵城塚翡翠」が紹介されていました。

で、その紹介の仕方が「とにかく読んでほしい」ということだったんですよ。

いつも内容に触れるのですがほとんど触れず。

珍しいなあ、これはよっぽど面白いのだろうなあ、と思い気になっていたのです。

amazonの欲しい本に登録して放置していたら、いろんなランキングでトップに選ばれ始めました。

こりゃ時間が取れたら読まないと今回手に取りました。

で、その感想なのですが大矢さんと一緒で

「この先私の書くことを一切読まずにとにかく読んでほしい」です!

一切予備知識は不要です、邪魔になります。

とにかく読む価値が非常に高いので読んでほしい。

読んでない人はここで回れ右。引き返してください。

そして読み終わったらまたここに帰ってきてほしい!

読み終わっている、もしくは読まないと決めた人向けの話として書いていきます。

最初に書評を書き、その後構成分析を書いていきます。

ネタバレしますので気を付けて下さい

■書評

この本の構成は第1話~3話、最終話で構成されています。

それぞれ小さな事件を解決していくすたいるで、それとは別に話全体を通して大きな事件が設定されています。

第1話を読んだ時点では正直期待外れだなあ、と思っていました。

大矢さんはこれの、なにがどう面白いと思ったんだろと。

何というんですかね主人公の翡翠にしても香月にしても薄っぺらい感じがしたんです。

表面的に好感度の高いキャラクターではあると思うのですが、本音のところで何を考えているかわからない。

事件の展開、解決にしてもそんなに驚くような展開はなかった。

読みやすい普通のミステリーという感想。

死んだ場所に行ければその死んだ人の気持ちがわかる、という縛りが新鮮ではありましたが。

ただそれもそこまで持ち上げるものではないかな、という感じです。

第2話、第3話を読み進めていっても割とその感想は変わらなかったですね。

徐々に翡翠に関する好感度は上がっていき、小さな事件とは別途設定されている大きな事件の方の展開が気になるつくりではありました。

そのおかげでどんどん読み進められるのは確かでしたね。

第3話の最後の話の展開で、ああ、こういう風になるんだなということが予想できて、まあ最後まで見ているかということで最終話を読み始めました。

そしたら、一気にすべての予想が覆されて怒涛の展開!

最終話はすごい勢いで読んでしまいました!

予想が外れたということよりも外され方が半端なかったですね。

筆者さんはよくこのお話を思いつきましたね。

ちょっと感性が普通じゃない。まともな感覚の持ち主ならこんな展開を思いつかないですよ。

人生レベルで人を出し抜いてやろうと考え続けている人でないと出てこないような展開が繰り広げられます。

そしてそれを思いついたとしても成り立たせるためのお話の構築がすごい大変なはずなんですよね。

そういった構成力があって、足かせがある中で読者を最終章まで読み進めさせられるエンタテイメント能力もあって、初めて成り立っています。

この本1冊を書き上げるのに3冊分くらいの労力を使っていると思うのですよね。

そりゃ面白いはずです!

■構成分析

このあとはさらにネタバレ度が高い構成分析をしていきます。

1~3は話のフリで最終話でネタ晴らしをしています。

それ以外に全編を通じての事件が設定されています。

話のしょっぱなに、翡翠が殺される、もしくは殺されるのではないか、という描写を持ってきています。

これは有効なんですよ。不幸なことが起きるということが予想される話というのは興味を持ってもらえます。

最終的に主人公が死んでしまいます、ということがわかっているお話は人気が高いですよね。

逆にその分そういった話が多いのでよほど最後をうまく展開しないと、ありきたりな話になってしまいます。

続編が作りづらくなるのも難点ですね。

・最初に翡翠が殺されるような話を書く

・1話で翡翠を登場させる。好感度の高いキャラクターにして読者の殺されたらどうしよう度を上げる

・1話の最後事件が解決して良かったね、となったところで再び翡翠に迫る危機をあおることで読者の興味を維持する

・2話でも翡翠の好感度を上げ、2話の最後で迫る危機をあおる

・3話でも翡翠の好感度を上げる部分は同様だが、最後である意味ネタ晴らしにつながることを読者に提供する。予測したものが正解だったか確認したくなるので読み進む

・最終話でネタ晴らしをする

という構成ですね。

ただこれは特殊すぎてテンプレートとして使ったときにもろにパクりだといわれてしまうでしょうね。

少なくともミステリではだめだし、短いコメディの話とかだったら利用できるかもなあ。

その他にも細かい工夫がすごいですね。

こういうつくりだと第1話で離脱されることが多いので、1話で香月とその知り合いの恋愛要素を入れることで読み進みやすいようにしている。

こういった工夫ができるところが、力のある作者さんだなあと思います。

後キャラクターの設定がうまいんですよね。

正直読んでいる最中に違和感が半端なくあったんですよね。

一番は翡翠のキャラクター。好感度を上げるような所作、動作が多い。

テクニック的に好感度が上がるようにしている。まあいわゆる「あざとい」キャラクターなんですよ。

私はあんまりそういうの好きじゃないのでどうだろうと思っていました。

香月もシャイで頭のいい人なんで好感度が下がることはないですよね。

だからと言って強く好きになるような要素がないな、というところも狙いだったんですよね。

事件に関しても伏線っぽいものがあるのに全部が回収されない。

それもミスリードでした、というような顔をしておいてれっきとした伏線だったわけです。

作りが素晴らしい、まさに傑作ですね。

エピローグも秀逸で、読後感が悪くなりかねない話をきれいにまとめています。

いやあ力のある作家さんの力量を存分に見せられた、本当に読んで得した物語でした!

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