CGWORLD 2020年2月号まとめ

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あれ、もう2月号でた?と勘違いされる方がいらっしゃるかもしれませんが違います。
"2020年"2月号です。
年内に1年分読んでしまいたかったので遡って2月号をレポートします。

■特別企画:IDOLiSH7 Mr.AFFECTION

IDOLiSH7の新曲「Mr.AFFECTION」のMV舞台裏に関しての中核スタッフへのインタビューです。
CG的にすごく参考になったところはないのですが、男性キャラクターを魅力的に見せるという点で見ると非常に参考になる資料です。いやあそういう作品が好きなスタッフがそろっているのだと思いますが、プロの仕事ですね。
ゲームの場合は、必要に迫られればこういったMVも作らないといけない。
その時にはぜひお仕事をお願いしたい、と思うような内容でした。

こういったコンテンツは人物をビジュアル的に魅力的に見せることが重要で、特に末端部分や姿勢という所がしっかり作成されていると魅力的に見えます。
言語化が難しいのですが、ポーズにしてもアングルにしても見たいところがちゃんと効果的に見えるような作りになっています。
髪や指先、服装やスタイル、そういった部分にこだわってモデリングして、それを効果的に見せるというのは基本ではありますが実際ここまで高いレベルで出来ているのは珍しいのではないでしょうか。

■第1特集:アニメーションNEXT LEVEL

2020年最初の特集はアニメーションをフィーチャー。身に付けておくと役立つ知識やクオリティアップで気をつけるべき点など、国内外で活躍するアニメーターが培ってきたアニメーションのノウハウを紹介する。

・Lecture01 アクティングにおけるフェイシャルアニメーション&リズム

小池洋平氏のアニメーションのクオリティをアップするポイント講座。
最初に顔面の筋肉図が描かれているのは、まさにここが言いたいことなんでしょうね。
いろんな表情の練習をするデザイナーさんは多いと思いますが、人体がどういう構造になっているか理解したうえで表現にフィードバックさせた方がいいですよ、ということが言いたいのだと思います。

まばたきの瞼の動きが問う感覚ではない、というのは指摘されないと分からないですよね。
ポーズのリズムの項も参考になります。
こういったメカニズムを気にせず単純な動きに落とし込んでしまうと途端にクオリティが下がるんですよね。

・Lecture02 アニメーションのクオリティを上げる「良いポーズ」のつくり方

若杉遼氏によるポーズのコツ講座。
タイミングとポーズが重要で、緊張と緩和という部分をベースに開設がされている。
悲しかったら緩和、怒っていたら緊張ではなく、怒っている状態で緩和なら「ムカムカ」程度だし緊張していたら「激怒」である、というのはすごく勉強になった。
感覚的に理解させるのではなく、こうやって理屈として教えてもらえるのは助かります。

シルエットを気にしましょう、というのもよいアドバイスですよね。
肩をすくめる、ということで非言語化された情報をユーザーに渡したいわけじゃないですか。
肩をすくめさせることが目的じゃなくて、伝えたいメッセージがあるわけです。
でもシルエットがそうなっていないと伝わらないわけですよ。
開発においてこういう場合「伝わっていない」、という話をすると「ちゃんと指示通りに肩はすくめさせました」満たない返事が返ってくることがあります。
これだと何の仕事しているのかわからないですからね。気をつけましょう。

ポーズを単純と複雑に分けて視線誘導をしましょう、というのは考えたことがなかったですね。
単純な立ち絵を作るのであっても、左右どちらに立たせるのか、どのキャラクターが説明要員か、ということを踏まえると色々と工夫する余地があります。

・Lecture03 アニメーションをレベルアップさせるGoodをGreatにする「ポリッシュ」

出来上がったアニメーションをさらによくする「ポリッシュの説明」。
具体例として挙がっているものは、確かに見栄えを数段よくするための工夫です。
メリハリをつけるというか、原画として見栄えがいいものにするということですね。
外連味のある動きばかりだと嘘くさくなりますが、必要な場面で入れていくとクオリティが格段に上がります。
どこを印象的な絵にするのか、ということを考えてシーンを作らないといけないということです。

私が知っている例だと、リアルな姿勢で銃を構えると自然に銃が顔の前に配置されますよね。
でもそれだとキャラを見せるときに表情が見えにくいです。
だとしたら銃は少し下げないといけないのです。

・Lecture04 動きの分解・観察、ポージング、モーションキャプチャデータの活用

「アニメーションスタイル」の連載で語られているような内容ですね。
どれもこれも対象をよく見て分解することが重要です。
あとここには書かれていませんが、実際にやってみる、というのも有効です。
私はプログラマですが、キャラを動かす前に実際に動いて試しています。
そんなに少数派ではなく、実際やる人は動かすのが得意だったりするのでお勧めですよ!

・個人的総評

この特集良かったです。
個人的にアニメーションの記事が好きだということもあるのですが、論理的に語られているところが特に気に入ったところでした。
普遍的な内容で以前に観たことがあるような内容でもあるのですが、知っているからと言って再現できるかは別ですからね。
私はこれからもこういった特集があるたびに興味深く読むのだと思います。

■第2特集:拡張する建築ビジュアライゼーション

建築パースから建築ビジュアライゼーションへ。技術面ではBIM(Building Information Modeling)の浸透など、新たな転換期をむかえた建築業界。エンタメ産業におけるCG・映像制作との共通点、異なる点をふまえつつ、今後の展望を考える。

・フルCGから実写まで、あらゆる技法を駆使する 日建設計 CGスタジオ

建築業界における、3DCG活用動向、ということで面白い特集ですね。
門外漢なので少しだけ読んでみた感想を。

建築物を見せる、ということで考えるとモデルなどの形状も重要なのでしょうが、それよりもアングルの良しあしがクオリティの高低を決めるように思いました。
あとは天候などのシチュエーションもですね。
シチュエーションが観た人の想像力を書きたてることで、その建物の魅力をより引き出すように思います。
ああ、そういったシチュエーションで訪れてみたいな、と思わせられるかどうかですもんね。
そう考えるとゲームなどで建築物を作成する際にも、参考になりますね。

■特別企画&連載記事

・ポリゴン・ピクチュアズの戦術ノート 第3回

アニメシリーズ『空挺ドラゴンズ』の紹介。
CGそのものとしては高いクオリティというわけではないが、アニメっぽいルックを表現できている。
ゲームだとそんなにハイポリは使えないので表現方法として参考になる。
やっぱり影のつけ方がポイントのように思います。
あとイメージボードがきれいだと背景がかっこよく作れますね。
こういった部分はお金を惜しまないようにしないといけないんですよね。

・HOT STUFF MV『SOUND & FURY』(後篇)

表題MVの紹介。
都市の景観のCGが見栄えがいい。
ライティングがうまい人がいますね。
自動車のモデルは微妙。
まあそのあたりは予算次第で描けられる時間が変わっちゃいますからねしょうがないのかと。

・Game Graphics Studio

『BLADE XLORD-ブレイドエクスロード-』の紹介。
モバイル用ゲームにもあ関わらずハイクオリティですね。
モデルの作成も見事だし、イラストタッチをしっかりと表現できている。
ハイエンドムービー用のモデルも作成しているのか。
作成者さん立ちうらやましいなあ。
この記事が掲載された当初で500万DLとのことですが、売り上げはどうなんでしょうね?
今セールスランキングを見た感じ、平均月間2億といったところか。
海外で売れていると黒、売れていないと厳しいんじゃないかな。
でも、こういった作品を1本作ると、他の作品にも応用できる技術や知識経験がつまれますから。
もっとこういった作品が出てくるといいのになと思います。

・VFXアナトミー

セイコーウオッチ”WW”のブランドムービーの紹介。
キャラ造形がかっこいい。映像も静止画を見ただけですが動きがあっていいものに見える。
ただ、時計のプロモーションとしてはどうなんですかね。
アンアンリ時計そのものにはフォーカスされていないように見えるのですが、大丈夫なのかな。

・世界大諸説史

大産業革命というのがテーマなのですが、夜の工場ですね。
こういったものを見て回るツアーもあるということで、大きな人工物というのは魅力のあるテーマなのだと思います。
見えない細かいところは作りこんでないと思うのですが、逆に陰影があって目に付くところは作りこんでありますね。
ここが適当だとクオリティが下がってしまいます。
見えているところを作りこむことで見えていない部分の作りこみを見ている人に想像させる、ということが出来ているのではないですかね。

・Phenomenal Things

ゾンビ化してRichになってしまったような王様のCG。
かすれた雰囲気がアンデット感があっていいですね。
ゲームこういったものを表示させるためには今だとテクスチャーで対応したほうがいいのか、バンプマップやテッセレーションで対応したほうがいいのか。

・画龍点睛

ネズミのモデルCG。水墨画のような線を3Dに起こしています。
ネズミとしての形状を保ちつつ、こういった表現ができるのはかっこいいですね。
Blenderの「Grease Pencil」を使用しているとのことで、使ってみようという人は参考になるのでは?
手描きの質感を3Dで表現するのに適したツールなのですかね?同じような要件があるときには試してみたいです。

・アニメーションスタイル

この号ではフィギュアスケート編の1回目。
フィギュアスケートはバレエやダンスの要素が取り入れられていますから、その動きを勉強するのは他の動きの勉強にもなります。
運動曲線、フォロースルー、予備動作、重心の位置の意識、回転の中心軸をどこに置くか。
いろんなところで語られているのですが、情報として知っていても作品としてアウトプットする際に忘れてしまうことが多い!
こういった表現を繰り返し見て分析して、もれなく表現できるようにならないと駄目ですね。

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