書評:「ティール組織」総評

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ティール組織、書評のまとめです。

いやあ、長かったですね。熟読したというところもありますがボリュームもすごかった。

内容が難しいところもあったので、理解するのに時間がかかったところもありましたね。

ティール組織に関して、本としての感想とティール組織という考え方について分けて感想を書きます。

■ティール組織という本について

これからの組織マネージメントを考えるうえで、非常に有用な本だと思います。

まず第一に、今までのマネージメントがどういう形で進められていたかという部分がしっかり記載されている。

これからのマネジメントを考えるうえで、本書の第1部に書いてあることが前提として理解できていないと話を展開していくのが難しいです。

そして進化型(ティール)という考え方が、今後一つの大きなマネジメントの手法の一つになることも確かだと思います。

それを理解するということも重要でしょう。

ティール組織という理解しにくい概念に関して、具体例を豊富に用意し、実際の実施提案も記載されています。

今年は日本のマネジメントの本もたくさん読んだのですが、これくらいしっかりした内容でないと役に立たないですよね。

厳しい言い方ですが、軽めのマネジメント本は読んでももらえますし、理解しやすいのでわかったような気になれます。

結果売れるでしょう。

それでも内容が伴っていなければ役に立たないんですよね。

そういった本と比べて、本書は確実に役に立つ本です。

■ティール組織という考え方について

正直評価が難しいですね。

端的に、この考え方で進めることに賛成できて、実施することができる人は幸福度の高い仕事ができると思います。

そういう層がこれから増えていくのもその通りだと思います。

ちょっと回りくどい言い方なのですが、下記のような問題を含んでいます。

①自発的に仕事をすることを望んでいる人でないと向いていない

②既存の企業を改善するための方法ではない

これから立ち上げる日本代表チームの運用には良いけど、中小企業の改善には向いていないということです。

実際問題この本を手に取って改善したいという人たちのほとんどを、救うわけではないということですね。

限られた指向性と能力を持った人たちを集めることができれば成功するやり方です。

そりゃそういう人たちを集めたら成功するでしょう、という考えと、そういう人たちでないともう成功できない情勢なのでは?という両方の考えが浮かびます。

仕事場というものに特にこだわりを持たず、ある程度の成功を高い確率で達成したいという志向があり、仕事で高い幸福度を求めたい、ということであればティール1択です。

ただ、人間いつでも自発的に作業ができるようなモチベーションがあるわけではないではないですか。

病気になったりとかするわけなので、ティール形態の企業ばかりだとつらい人も出てくるのではないでしょうか。

■ティール組織のやり方は問題がないのか?

進化型がちゃんと理解できていればいいのですが、そうでないと「やりがい搾取」になる可能性があります。

やり方に問題があるというより、人の集め方の方が重要ですね。

「こう働きたい」、「こういう会社であってほしい」という意識が同じ人たちで結成されていれば同じやり方でも、問題になるときとならない時があるかと。

アジャイルも適当にやるとただの思いつき開発になりますし。

ティールのような基礎知識が必要な方針は、うまくいかなかったときのダメージも大きいと思います。

■ゲーム開発に向ているのか?

第3部の感想でも書いたのですが100人中の10位以内が達成できればいい仕事には向ていると思います。

1000人中の10位以内を目指す仕事には向いていないと思います。

ゲーム制作に限らず、エンタメ系は後者なので向いていないかと。

逆説的というか、エンタメ系で求められる働き方では幸福度はアップできないですよ、ということなのでしょう。

もうこれはしょうがないですね。それでもエンタメ系をやりたいのか、そうでないのかはそれぞれの人たちで決めるしかないです。

ゲーム開発に関して言うと、ティール組織で書かれているような世の中になっていくので、その中でどのような働き方を選択するのかを考えていくのが重要ですね。

ゲームに関してはそれぞれの幸せを考えるのではなく、制作物を一番良いものにするにはどのように進めるのがよいか、という考え方になっていくかと思います。

そのうえで、どんどんリリースしていきたい人、大作を作りたい人、という感じで別れていくのかと。

■最後に

本当にこの本は読んでみてよかったと思います。

それでも全員にはお勧めしないですね。

・ある程度の社内改善を経験したことがある

・マネージメントの勉強をしたことがある

という条件がクリアできてないといけないですね。

そういった前提がなくこの本を読むと「ティール組織最高!」になってしまうかと思います。

ある程度の知識経験があってそうなる分にはいいのですが。

実際にはティール型に移行できない企業はたくさんあります。

その中で現実的にどうにかしようとしている人たちがたくさんいるわけです。

そういった人たちにちゃんと配慮できないと、かえってこの知識があることで迷惑をかける可能性があるかもしれません。

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