CGWORLD 2020年10月号まとめ

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CGWORLD 2020年10月号のまとめを書いていきます

■第1特集:バーチャルイベント最前線

コロナ禍が長期化するなか、ニュー・ノーマルのイベント興行として急速に注目をあつめる「バーチャルイベント」。バーチャルスタジオ技術は、天気予報や情報バラエティなどのTV番組を通じて培われてきたものが、そこへライブイベントの醍醐味を込めるとなると世界中で試行錯誤の最中だ。CyberHuman Productions、SYMBIOSIS、clusterの事例を通じてこれからのバーチャルイベントを考える。

ゲームも面白ければいい、という時代からリアルイベントを含めた「体験」を重視したものになってきています。
エンタメというものは漫画とかイベントとかゲームとか動画とかアニメとか分けずに考えないといけないのでしょうね。
そう考えるとバーチャルイベントの動向も気にしておかないといけないと思います。

・CyberHuman Productions 『Da-iCE×ABEMA ONLINE LIVE TOUR 2020 -THE Da-iCE-』

CyberHumanProductionの有料ライブ配信のお話。
映像効果も含めて配信できる、サイバーエージェントグループならではのシナジーも得られる(ABEMAなど)ということで注目されている。ABEMA事業は珍しくうまく一定な印象なのであるが、コロナ禍の中では追い風だろう。
ABEMA事業単体で利益を上げる必要はなく、その他の事業も併せてということで考えれば大きな収益につながっているはずで、そのあたりはさすがサイバーエージェントグループ。
例えば1アイドルグループの配信をする、という所から初めて有料会員サイトの作成などを受注できれば年間で大きな利益に繋がったりもしますので。
でもサイバーエージェントグループだけじゃなくDMMなんかもノウハウ持っているはずなんですけどね。やっていないということはライブ配信単体だと儲からないのかもですね。

バーチャル撮影システムの紹介があるが、クオリティが高そう。
激しい動きへの対応や、多くの映像効果の表現に対応している。
UE4が活用されているということ、確かにリアルタイム処理を行うのであればとの相性が良いはず。
リアルタイムということを考えると音と絵を合わせる制度が重要、とのことでそれは確かに気を付けていないといけないところ。
オペレーションの負荷が一人に集中する、というのも実際にイベントの数をこなしていけば問題になることが出てきそう。

アーティストのバーチャルモデル化に関しても紹介されている。
正直まだ見た目がいまいちだったりもするのであるが、そのうちこちらの方が融通が利くようになりそう。
自動車のテレビCMはもう実写よりCGだったりもするので、同じような経路をだどるような気がする。

芸能に関しては単価が高い。
ニコ生がうまくいかなかった理由としては、テレビ局関連の人たちが流入してきたからのような気がする。
テレビ関連だとちょっとしたプロモーションでも何百万単位。
ゲーム発売時に利用しようとして面食らった記憶がある。あれだと利用できない。
ゲームのことを考えるともっと安価に使用できるものがあるといいな。
この紹介されているサービスに関しては、単価を下げるのではなく付加価値をちゃんと挙げて対応しているので素晴らしいなあと思いました。

・SYMBIOSIS オンラインVRパーティ『SWITCH』

オンライン配信ミュージックイベントの紹介。
ここでもバーチャルステージの開発委はUE4を使っている。
照明デザイナーがライティング演出を担当しているということで、そりゃ見栄えが良くなるよなあと思います。
ゲームでもライティング作成時にそういう人に入ってもらったほうがいいのかも。

コロナ禍だと言って打ちひしがれている人たちがいる一方でこのように新しいチャレンジのチャンスだととらえる人たちもいる。
日本国内だけでなく海外にも配信できるということは、パイが拡大する可能性があるということ。

単純に絵作りだけを見ればありきたりな印象もあるが、ライティングやカメラワークがプロの仕事なので実際はかなり見栄えが良いものに思える。

・cluster 『バーチャル渋谷 by au 5G』『【バーチャルハマスタ】横浜DeNAベイスターズ vs 阪神タイガース』

clusterはバーチャルSNS。
スマホでも利用できるバーチャル空間の紹介。
2019年に実施されたイベントは350、2020年だと5月時点で300位ということで単純に倍増しているといえる
紹介されているイベントは延べ5万人が参加しているとのこと。
15年くらい前に1万人でチャットをする、という企画を立てたことがあるのであるが、その時は「出来るか!」ということで一笑に付された。今ならできそう。
同接で1万さばききれなかったとしても、近い距離の人数に区切ってリアルタイム更新があればいい。
延べ人数が多いのであれば、あたかも同接しているように他人の行動が自分の環境にフィードバックされればいい。
夢が広がるなあ。

映像作品としては渋谷の街並みもハマスタも若干残念。
そこが力を入れるポイんでもないからしょうがないともいえるが、インタラクティブな要素を入れるだけで途端に見栄えはよくなる。そういった部分はゲーム作成経験者を使うといいのになあ。

■第2特集:動物CGから紐解く美術解剖学との付き合い方

渡嘉敷拓馬氏、LiNDA ZOO、Black Beard Design Studio Inc.が、各々の制作事例を使い、動物CGにおける美術解剖学との付き合い方を解説。フォトリアルなライオン、黒ヒョウ、リュウキュウオオコノハズクから、ロボット犬まで本誌ならではの多彩な“動物”を取り上げ、実在感を高める秘訣を紐解く。

・01.Takuma Tokashiki アナトミーの勉強とはランドマークを正しく暗記すること

アナトミー
解剖・解剖学・動植物の体内の構造

動物のモデリングを行う際に、動物の構造をちゃんと理解して作りましょう、という内容。
確かに人物イラストでもわりと早い段階で骨格を勉強することになる。
筋肉の形を理解することで制作時に気を付けることは変わるし、それを積み上げることでよりリアルなオブジェクトを作成することが出来る。
制作物をの資料を集めるということは、よくその物体を見る、ということに繋がり制作物の向上に役に立つはず。

・02.LiNDA ZOO リサーチと内部構造の知識が個体のリアリティを高める

この記事ではクロヒョウのモデル作成に際して筋肉をシミュレートしたものを紹介。
全部の筋肉を表現せずまとめられるところは簡略化しているというのは、知ってうれしいノウハウ。
ファーにしも筋肉にしてももうシミュレートできるよなあ。

リュキュウオオコノハズクのモデルの作成に関しても紹介。
翅の構造に関して詳しく描いてある。
言われれば誰でもできそうに思うかもしれないが、そこに注目しないといけないという部分がわかっていないと衣装たどり着けない。翅の形だけでも何種類もある。

・03.Black Bear Design Studio Inc. 解剖学的に正確だとしても意図した印象になるとは限らない

スマホ&PC用ゲームの『N.E.O』に出てくるキャラクターの開発方法を紹介している。
ロボット犬に関しての作成方法が語られているが、「犬らしさ」、「犬の可愛さ」という部分をうまく切り出して作成している。
出来上がりが非常にかっこよく、最終的に「どう見せたいのか」という部分がはっきりしていてそれを実現できているように思います。
完全リアルな動物よりもかっこよく簡素化して作成することが出来るはずなので、ゲームなどに活用するには良い作成アプローチですね。

■特別企画&連載記事

・HOT STUFF(Animation)

有り次なる短編アニメーション『PIANOMAN』の紹介。
制作フローに関してはそれなりに参考にはなるが、オリジナルのアニメを作る機会はないだろうなあ…
赤い顔の角が生えたモンスターはイラスト通りの見た目のモデルが作成されている。
デッサンがちゃんとしチエルからかと。初期設計がしっかりしているとその後の作業も破綻なく進むという良い例。

・HOT STUFF(Demoscene)

いわゆる「メガデモ」の紹介。
私が最初聞いたのはもう10年以上前か。まだやっているんですね。
綿密なオブジェクトを用意するのではなく、プログラムや計算式でそういったものを作成することで容量を抑えています。
プログラムだけでどこまで表現できるのか?という部分に注目が集まるのでデザイナーだけでなくプログラマーも面白い映像になっていると思います。

・Game Graphics Studio

『キャプテン翼 RISE OF NEW CHANPIONS』の紹介。
シンプルなつくりながらも原作のイメージを損なわず3Dキャラクターで表現できている。
フェイシャルアニメーションの変化に忠実に従ってシェーディングをこなうとアニメらしい影指定のなされたルックにならない、というのは言われてみればそうですね。
自分もこの手の作品を作る場合には何らかの対応をしないといけないと思いました。

キャラクターはアニメ調、スタジアムなどはリアルに寄せることで最新ゲーム機に適応した見た目にしている。
これを行っておかないと、原作の雰囲気は踏襲しているのに「いつのゲームやねん」ということになってしまう。
何気に度のゲームでもこういう選択肢を取っていると思うのであるが、だれが最初にやり始めたんだろう。

・アニメCGの現場

『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』の紹介。
キャラクターの表情が豊かでそれが3Dでしっかり表現されている。
これは同じようなモデルのゲームを作成する際には参考にしたい。

一方飛行機の期待に関しては質感がいまいちに見える。
飛行機自体はそんなに好きではないのかなあ
エンジン始動手順や、操作方法に関しての資料は素晴らしい。
でも単純に正しい動きだけではなく、こう操作しているところがかっこいい、という部分まで落とし込めないと絵としては地味になってしまうと思う。

・VFXアナトミー

東映ツークン研究所が開発するマーカーレスのリアルタイムカメラトラッキング&合成システムの紹介。
精度はかなり高いようで、ここでもUE4が活用されている。
利便性が高いとリアルタイム操作になるし、そうなるとUE4を使うことになる。
ゲームでも『428』のようなものを作ることを考えるといいのかも

・Phenomenal Things

『蛇の骨』という作品の紹介。
きれいにできていると思うけれどもさほど特筆するところはなし。

・画龍点睛

お祭りをテーマにたくさんの提灯が表示されている作品。
こういうのはきれいでいいですね。
ぼんやりと表示されている部分に技術的な工夫がありそうだし、単純に見栄えがあって迫力があるものはゲームの絵作りの参考になります。

・アニメーションスタイル

オリンピック競技編⑤ということでハンドボールと競泳のアニメーション。
ハンドボールの動いているときの重心の位置の説明が良い。

競泳に関しては、何気に水中の映像を取るのが難しいので、良い資料になる。
水中の姿勢のシルエットに関して説明されている。こういうことがわかってればどれくらいの可動域が必要なのかという所が割り出せるので、モデル設計時に助かります。

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