観てきました!
率直に、「最高!」、ブラボーです。
極力ネタバレなしで感想を書いていきます!
■現代の問題点に真っ向勝負
時事ネタというか、割とわかりやすい社会問題に対してのメッセージをわかりやすく発信しています。
これ本当に尊敬するんですよね。
今ある社会問題を取り上げるのは実はリスキーなんですよ。
映画なんて3年くらいかけて作るわけじゃないですか。3年前に問題となっているものが3年後問題として受け入れられるかは別問題です。
解決しているかもしれないし陳腐化しているかもしれない。
またまた社会的な評価が変わるかもしれない。
なので映画なんて言うのはもっと普遍的なものを、わかりにくくそれっぽいテーマに包んで届けられることが多いです。
でも「竜とそばかすの姫」は違った!
そこから逃げずにおかしいものはおかしい、間違っているものは間違っているといい、自分はそれに断固反対するという意志がはっきりと現れていた。
割と大御所の人たちでもやってこなかったことですからね。
表現者の一人として、一人の大人として本当に尊敬します。
■生死に関して
細田監督の作品は死をテーマにしていることが多いです。
細田監督自身、「死にたい」とか「死んじゃったら家族がどうなるんだろう」という思いにさいなまれて生きているのでは?と感じる作品でした。
仕事を一生懸命やっている人なんて言うのは少なからず、そういった思いにむしばまれているのです。
時間は限られているから仕事をしないといけないでしょうし、そうすれば家族と過ごす時間は減っていきます。
家族と過ごしていれば仕事場の人たちに申し訳なくなるし、仕事をしていると家族に申し訳なくなる。
AもBも選べない、その状況が変わらない、という事態に追い込まれると人は死にたくなるものです。
あと自分が突然死んでしまったら家族はどうなるのか?ということを考える年齢になっているかと思います。
そういった死生観的なものがこの作品には表れていますね。
そのうえでそれを乗り越えていく作品であるので、本当に勇気をもらえるかと!
■エンターテインメントとして優秀
映画監督で一番好きなのは細田監督なんですよ。
確固たる地位を獲得されているとは思いますが、最近は『サマーウォーズ』のころのような勢いがないように思っていました。
『未来のミライ』は個人的に面白かったですが、観客が押し寄せるようなタイプの映画ではありませんでした。
事実『バケモノの子』の興行収益が50億を超えているのに、『未来のミライ』は26億円くらいです。
反面各映画賞なんかは獲得していたんですよね。
細田監督はご自身の生活の中からテーマを見出されているようで、少しテーマが小さくなっていたように感じていました。
ありていに言うと地味なんですよ。
実生活に根差した人の内面に深く切り込んでいくようなテーマは、わかりにくく地味になりがちです。
そういったものとわかりやすく観客を動員するというものは両立しにくいもの。
『竜とそばかすの姫』に関しては深いテーマを取り上げながら、エンターテインメントとしても成り立つ構成になっています。
いろんなところに伏線が張られていて、それが見事に回収されていく。
シナリオとしても本当に素晴らしい、エンタメのお手本のような作品です!
■ちょっと小ネタ
お母さんの声、島本須美さんなんですね。
ところどころ宮崎監督に喧嘩売っているように感じていたし、そんな記事も出ています。
でもこれ「ナウシカ」なんじゃないですか?
そうおもったらちゃんと敬意があるように思います。
誰かの何かを批判しているからって嫌っているとは限りません。
むしろ気になっているからこそ批判する部分も出てくるのです。
■何はともあれ
とにかく劇場にゴーですよ!
頑張れば頑張るほど大変になる世の中で、元気をもらいたい人にお勧めの映画です!