CGWORLD 2020年12月号まとめ

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CGWORLD 2020年12月号のまとめを書いていきます!

■第1特集:百花繚乱! 最新ゲームグラフィックス

次世代機PS5/Xbox Seriesの発売を控え、ますます盛り上がりをみせるゲーム業界。ハイエンド機、スマートフォン、VRなどプラットフォームの幅が大きく広がった現在、その開発スタイルも様々だ。本特集では、注目の3タイトルを通してそれぞれのオンリーワンの開発手法を掘り下げる。

ということで待っていましたゲーム特集。
昔はAAAタイトル以外はデザイン技術という点で見ると参考にならないものが多かったのだけど、今はどのタイトルも独自の工夫が入っていますよね。
そう考えるとプレイヤーとしてはうれしいけど作る側としては大変です!面白ければそれでいいという時代は終わった!

・CASE 01 天穂のサクナヒメ by えーでるわいす etc.

最近話題のゲームですね。
農業要素をゲームに入れるのはやりたかったんですよねえ、悔しい!
ジェムドロップの北尾雄一郎さんも絡んでいたのか。
直接お会いしたことはないはずですが、SNSで見ていると共通のお友達が多い印象。
こういう作品にかかわっていらっしゃるところは、こちらもうらやましいなあ。
5年半もかけて作成しているのか。最初の3年は二人で作成していて、量産時に人を入れたということで実は理想的な制作体制ですね。今はそれくらい設計に時間をかけないと受け入れられるゲームは作れないような気がします。
これ雇われ社員だと難しいんですよね。5年間実績なしということになっちゃうので。

アート政策のところを見るにキャラクターデザインが素晴らしいですね。
先にこれがあれば一本筋の通ったものになる。
なかなかここに時間かけられないし、こういったことが出来る人を育てたり採用するというのは難しい。
作品にはまらなかったり新作がなかったりすると作業が無くなっちゃうからねえ…
アニメ制作だと定期的に新規のものが出るけどゲームだとそういうわけにはいかないからねえ。
どこかキャラデザイナーを集めたような会社を作ってくれないかしら。

・CASE 02 FINAL FANTASY VII REMAKE by スクウェア・エニックス

UE4を使用した開発という所が主に語られています。
『キングダムハーツ3』でもUE4が使用されていましたが、これからもその方向性での制作は多くなりそうですね。
もともと外部協力会社で作成していたものを内部開発主体に切り替えたということで、そういう背景であればUE4を使用したのは妥当な判断ですね。
フィジカルベースレンダリングと野村哲也さんのキャラクターとの融合がうまくいったというコメントが印象的。最初からそこがデザイン方針だったのかもです。
敵ボスなどのディテールははZBrushではなくSubstance Painterでの2Dペイント。この辺りはちゃんと割り切っている。
召喚獣の発光部にフローマップを使用しているとのこと。
髪の板ポリ感を消す工夫もよくこんなことを考え付くなあ。
各種詳細は今年のCEDECでも紹介されていました。レポートを書いているので、そちらも見てみてください!

うお、ライティングチームがいるのか。それはすごいなあ。
でもまあたしかにクオリティの良しあしはライティングが決めることが多いから必然か。
日本のCGアニメの出来が悪いのって、大概ライティングに問題があるもんなあ。

・CASE 03 リトルウィッチアカデミアVR by UNIVRS

こちらはVRゲームの紹介。
コンセプトアートもイラストもきれいなのにいまいち表現しきれていないところが残念。
スペックの問題はあると思うけれどももう少しどうにかできたかと。

VR空間におけるUI設計の考え方や毎ルームを広く見せるための工夫は非常に参考になる。

・COLUMN Play Station 5 とXbox Series X

その似て非なる次世代ゲーム機の実力を考察する

ということでスペックの評価をしている。
能力的にほぼ同じというのはまあスペックだけ見ればそうでしょうねという感じ。
もはやスペックの問題はあまり意味がなく、どう作るかという所が焦点になりそう。

・PS5はSSDの特性を利用した作品作り+リアルタイムレイトレーシングっぽいものを導入で勝負
・Xbox Series XはDirectXベースで制作しSteamやテンセントなどを含めた複数プラットフォーム対応で勝負

というようなことになるのだと思います。
どうなんでしょうね、PS5が売れればPS5の戦略勝ちだし、Steamやテンセントが今以上に流行すればXbox Series Xベースの開発がメインストリームになるかと。
正直Steamやテンセントは対応項目が多すぎて費用対効果が合わないような気がするんですよね。
そう考えるとPS5のほうが将来性があるように思うのですが。
Xbox Series Xはまたクラウドゲームの方でも期待があると思います。
でもクラウドゲームはまだ早いですよ。というかそれ用のゲームが出ないとつらいのではないですかねえ。
stadiaの話なんて聞かないでしょう?どっちかというと助けになるというより重荷になるのではないかなあ。
今回はきれいに切り捨てたPS5陣営のほうが有利かと思います。

■第2特集:『モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け』

2020年6月13日(土)、14日(日)にスペシャル編集版のオンライン試写会を開催し11月6日(金)に完全版公開となった本作。長年の『モンストアニメ』制作の経験を存分に活かす場となった舞台裏を、プリプロダクション、パイプライン、エフェクトにフォーカスして紹介する。

・01 PRE-PRODUCTION 180分のVコンテから吟味された濃密な120分

こちらのインタビューに関しては特にアニメも映画も見ていないのであまりコメントはありません。
この間ちらっとみた『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』のCGの出来がひどい状態だったのですが、モンストはきれいな画面になっていますね。
ソシャゲはIP化できない、と言われますが地上波で朝アニメをやって、Youtubeでもやって、それくらい積み重ねないと昔の地上波アニメシリーズと同じくらいの浸透がなされないんですよね。
愚直にそれをやったのはすごいし、モンストはちゃんとIP化していくのではないでしょうか。
うらやましー、という言葉しか出てこないですね。

・02 MAKING/ANIMA Stellaと共に進化するアニマのHoudiniエフェクト

Pipeline3 という独自のツールを使用して作成されているということで、その開発工程の紹介。
独自ツールが作れるのはすごいな、とは思いつつ独自だとあまり参考にならないなとも思います。
確かに長いシリーズを作るつもりがあって、既存のツールだと作業効率が悪いと感じたなら作るべきなんでしょうね。

・03 MAKING/DYNAMO PICTURES 全社の力を最大化するダイナモピクチャーズ

ダイナモピクチャーズの開発工程が紹介されています。
一見ゲームの開発工程のようにみえますね。
もうそろそろそういった垣根はなくなっていくのかも。
エフェクトの制作方法についても開設されているので、そのあたりに興味がある人は参考になるかと。

■特別企画&連載記事

・HOT STUFF(Teck Demo) Houdini&Arnoldで描く大規模なフル3D自然景観 個人創作『Island』

表題の作品を通して大規模な自然景観を製作する手法が紹介されています。
オープンワールド系のゲームを作るのであれば、こういった自然背景を効率よく作る必要がありますからね。
多少地形メッシュがいまいちでもシェーディングである程度カバーできる、というのはその通りだと思います。
自然物(樹木や草木)などの配置はゲームでも課題になるところ。
もう主導ではなくプログラムで対応していく必要があるところですね。
現実のエコシステム(ヤシの木は砂浜沿いに多く生え、中間から高所にかけては生えていない、というような法則)を踏襲することの大切さが開設されています。
この辺りもゲームだとプログラム対応が必要なところなので、ディレクターもプログラマーも詳しく成っておかないといけないですね。

・HOT STUFF(VTuber)『ReVdol! 2nd Anniversary Live Wish ? 願い-』

ついにVTuberの記事も出るようになりましたか。
VTuberはエンタメとしては参考になるのですが、CGという観点ではあんまり参考にならないかな。
一昔前の携帯機のゲームに近い、「低いスペックでも見栄えよく」というものが求められる分野かと。
実際記事の内容を見るに、そのあたりのノウハウがつまっています。
「200年前に通り過ぎた!」といわずに参考になりそうなことを書いておくと、低スペックだと苦手なモデル形状があるのでそれを避けたうえでバリエーションを持たせたデザインにするといいですよ。

・アニメCGの現場

『ドラゴンズドグマ』の紹介。
モデルの出来はよくなさそうなのにアウトプットされたものは見栄えがいいですね。
作画風のルックにするというコンセプトがあるようでしっかり達成できていると思います。
影をCGによるものは極力使わず、決め影はテクスチャに描いたとのこと。
あとコンポジット時に影の形状を修正したりしている。
この辺りは実際にやろうとするとスタッフは嫌がるんですよね。
そんなのCGでやる意味ないじゃんって。
私もそう思うのですが、これくらいのクオリティが出せるならありかなあ。
結局影のつけ方で見栄えが変わるようなので、影のつけ方をリアルタイムに編集修正できる仕組みを考えたほうがいいのかも。

音声収録時の映像を参考にリップシンクを付けたというのも、素晴らしいですね。参考にしたい。

・VFXアナトミー

電気グルーヴ『Set you Free』のMVの紹介。
MVとしては面白そうなのであるが、そんなに参考になる要素はなかった。
これVFXなのかな?

・Phenomenal Things

テクスチャモデルの変形が行われる作品、
うーん、動画じゃないと分かりにくいですね。
手に載っているオブジェクトが解けて流れ出す、というものなのですが実際同じようなシーンを作りたいともうことはあるかと思います。
その参考にはなるかな。

・画龍点睛

Bubble Frost、透明なビー玉に細かい装飾がなされているような形状の物のCGです。
きれいですねえ。
こういったものはモデルのみならずライティングが勝負かと思います。
そのあたりも開設されていますね。

「Phenomenal Things」も「画龍点睛」も今回で最終回のようです。
この手の個人製作の作品は仕事の参考にしにくいので、そういった理由からなのかもしれません。

「アニメーションスタイル」や「ACADEMIC meets INDUSTRY」も載らなくなっていますから、特集中心のページ構成になるのかもですね。

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