本日は書評を書いていきます。書評は主にプログラムや、ゲーム開発にまつわるものが多くなるかと思います。
ゲームアプリの数学を読みました。
アマゾンなどの書評だと割とわかりにくいというような意見が多かったのですが、私個人としてはいろいろと参考になる本でした。 ゲームアプリの数学という名称なのですが、ゲームプログラマのための数学の参考書という側面は確かに弱いような気はしますね。
おそらくですが筆者の人の意図としては、レンダリングパイプライン及びシェーダの説明をしたかったのではないかとおもいますね。それらを説明するうえで数学の知識が必要なので、それに関わる数学の説明をしているという形なのだと思います。
であればレンダリングパイプラインの説明といった題名の方が良いのは確かですがそれだと、 読んでくれる人数は減ってしまうかもしれないですね。それ故の現状の題名のかもしれません。
少なからず筆者の方が最短ルートで身に着けておいてほしいレンダリングパイプライン関連の知識と、それを理解するのに必要な数学の知識を網羅したため(あくまで私の感想ではありますが)、そのあたりを期待していない人には期待外れになる懸念はありますね。
こういった本は現状非常に作りにくいのは確かですね。コンシューマでFPSを作るのとPCでMMOを作るのと、モバイルでソーシャルゲームを作るのとでは必要な知識というものは異なります。
そういった違いは昔に比べて拡大していると言えるでしょうね。 一昔前(10~20年)ほど前ならまず最新の知識を持っていればよくて、スペック低いマシンで実装するには、最新の知識を間引いて使えばいいという考え方で済んでいたかと思います。
現状はそういった形ではなく、求められる開発環境ごとに別途の専門知識が必要になってきます。 そういった状況において、この本はゲーム制作に必要な多くの部分を網羅しているとはいえるかとおもいます。 まぁ確かに数学そのものの部分が分かりやすいか否かに関しては他の書籍のほうがいいかもしれません。ゲームプログラムの数学の本は何冊か読んでいますので、そのうちまとめて紹介しますね。
それでも第 8章 以降の内容に関しては一時的にゲームプログラムを離れていて私にとっては非常に有効な内容でした。 3Dプログラムの歴史に関しては下記の西川氏の著作が非常にためになります。
ただこ知らの本はPS3くらいまでの話でありそれ以降に、3Dプログラム に関して体系的に まとめられてる著作は私は知らないですねえ。
確かにそこからはPS4のようなハイスペック機に向かう人、PCに向かう人、モバイルに向かう人ということで多様性化されており、 個別の専門家しか語ることが難しく網羅的に語ることができる人は非常に稀なんでしょうね。
そういった背景があるうえでそれでも現状必要なものはこうではないかという1つの道筋を示したというところに対して筆者に尊敬の念を感じますね。
ゲーム数学を知りたい、というよりはそのあたりはある程度分かっているのだけれどもトレンド的に求められる技術知識を知りたい、という目的で読んでもらえるとよいかと思います。