今回は「チームの生産性をあげる」の書評を行います!
■書評その前に
沢渡さんの書籍を過去何冊か紹介してきました。
マネジメント関連の書籍に関しては正直あまりポジティブな話を書いていません。
元々こちらの記事で紹介されたので読んでおこうと思ったのがきっかけ。
POがいま押さえておきたい マネジメントのトレンド
https://www.slideshare.net/motoarima/po-179297003
ゲーム開発の現場だと限られた人にしか効果がないのでは?というのが個人的な感想です。
まずはそのあたりに関して先に書いておきたいと思います。
■まず、偉くなりたい?
この条件を満たしていないとあんまり意味がないんですよ。
他人より能力がある状態で他人より努力してしんどい目にあって、なおかつ文句を言われる。
下手すればやらない人の分も仕事をさせられる。そうまでして成し遂げたいことがあったり、成功したいのなら読む価値があるんです。
そうでないなら意味がないとは言わないが、まず使わない技術なので不要ですわ。
もしかしたら出くわすかもしれない熊を倒す技術身につけないでしょ?そのために努力できる?先ず会わないし、合わないようにするための努力する方が建設的ですよね。
1チーム員でいたいという人にはあまり意味がない。
リーダーとしては沢渡さんの本の知識があると助かります。”知識があってなおかつ協力してくれるのであれば”ですが。
職場を改善するということはその役目をもらえているのであれば努力次第だと思うのです。
ただ普通はそのチャンスは与えられない。
働き方改革の恩恵を受けたいけれども現在の職場では難しいのであれば、改善するのではなく転職する方が建設的です。
そういう背景をもとにコメントしていきますのでネガティブな話をするかと思います。
役立つ情報だとは思いますが、気分が悪くなる人も多いと思いますので気が乗らない人は回れ右でお願いします。
それではようやく書評を開始します。
スタイルとしてはすでに読んでいる人向け。本書の各章についての書簡を書いていくスタイルになります。
■はじめに
時短で生産性は上がらないというのはその通りかと。
手順が複雑化したら疲れちゃうし、時短になったのなら暇な時間を作ってあげないとみんなそちらに向かって努力しない。
時短シタラから次から次へやることを増やして幸せになれるのは経営者だけなので。
業務量が増えたら意味がない。業務量は時間だけの話ではなく、対応している仕事の量も配慮しないといけないのです。
同じ時間働いていても対応する数が多い方が負担は大きい。
さらに他の作業待ちなどあれば効率は下がりますしね。
■第1章 問題はどこにある?
ここの省の一番のポイントは、自分の感じてる問題は他人も感じてるか?ということ。
それってまずわからないんですよ。大概違っているし、自分と他人どちらが正解かもわかりにくい。
自分で正解と信じているものを正解にするために努力するしかないんですね。
自分が旗振り役でないにしろ改善しようと頑張っている人に対して冷静に効果的なことをやっているかどうか判断するのは難しい。
改善が難しいのはここに原因がある。
改善するために頑張っている人のやろうとしていることに対してそれを手助けもしてない人が、効果的ではないからって止められます?
でも意味がないなら止めないといけないはずなんですよ。
やるやらないの前に、そういった合理的な感覚を身に着けないと意味がないのです。
あと業務の見える化は重要だけど、見える化させて継続させるのが重要です。
見える化は頑張って実現できる組織が多いのだけど、継続して管理できないのがうまくいかない原因。
困難を取り除くのはみんなやる気が出るしやれる短距離走。
継続して管理できるのは長距離走で頑張れない。
ちゃんと部署や人を置いて対応したほうがいいと思うのですが、日本の会社はそういったところにお金使うのが下手ですよね。
さらに業務を見える化して非効率な作業を洗い出すことができるのか?という問題もあります。
通常の作業員には本当に不要なのかはまたわからくないです?
一見不要でも監査基準や経理上、法務上必要かもですよ?
自分の業務をこなしつつ、それらをすべて理解したうえで改善していくことなんてできなくないですか?
やれるとしたら偉くなって責任者になって、法務順令に詳しくなって初めてできる。だから成功できる個人がいて、そういう人は貴重なんでしょう。
組織の一個人ではやる意味があんまりないです。偉くなる気概があって努力して能力があって初めてできる。
そうでない人にできると思わせるのはあんまりよくないですよね。
沢渡さんの書籍に対してポジティブになれない一番の理由がここ。
自分のチームの管理できる範囲ならやらせられるし、小さなグループにやらることならできるけどね。
■第2章 ムダをなくす
無駄は無くさないが正解だと思います。無駄を無駄だと思わない。
前章に引き続きですが本当に無駄だかはわからない。勝手な判断は危険です。
無駄だと思うとモチベーションがわかないし。
良い面をちゃんと見つけて受け入れて、その上で後で検証してどれくらい効果的で、どんな代替案が適当だったか考える。
無駄をなくそうとする人は仕事が遅い。遅いというか結果的に成果が出ない。
仕事が早いというか結果を出せる人は、無駄なことも含めてやってしまえる人。
だから残業やってる人しか結果出せない。それが嫌だからってやり方でどうにかしようという人は結果が出せない。
まあそんなんだからみんな不幸になって生産効率が上がらないんですけどね。
清濁併せ呑むのがいやなら、できる経営者のところに行くしかないですよ。
■第3章 で、どう変える?
できないことはやらないは良いと思います。
メール返したりとか電話に出るとか、やれるときならともかくできないならスルーするのもありだと思います。
できないことをできるようにするより、できることで伸ばした方がいい。
できないことをやれるようにするのは、仕事でやられると非効率です。
個人的にはできないことをできるようにするのが好きですが、その努力は営業時間外の勉強で実現させています。
あなたのやりたいことを見て雇っているわけではなく、できるところを見てそれを生かせると思ったから雇っているはず。
それに応えるべきです。
■第4章 誰でもできるようにする
俗人化は良いとか悪いとかはなく、できているんだったら俗人化していると理解した方が良いです。
大事なのは担当者のやりやすいやり方、できるやり方で納得する。
そこに誰かが口出し始めると一気に効率が悪くなります。
こいつ使えないっていう評価を受けた人員を渡されたことが何回かあります。
その人がやりやすい方法でやらせたら、ある程度の結果を出せることが多い。
大体は多少効率が悪いやり方だったリハするのですが、本人がその方法でやりたいのならそれを認める。
外からそんなやり方で良いのか?って文句言ってくる人がいるんだけど、そういう人を排除した方が良いよね。
そりゃあんたの意向には沿わないだろうけど、こっちのやり方の方が実績を出してるのに何で変える必要があるのか?って思います。
そこは曲げなくてもいいと思えるかどうかが大事です。
■第5章 横入りに振り回されない
横入りの作業は対応しないという選択肢もあります。
頼んだ相手が忘れてるんだったら、頼まれてない仕事だって開き直れる胆力が必要。
横入りの作業は思い付きのことが多いですから。
実際に対応したのに、後で違う方法を別途指示されたこととかあります。
妥当な対応を仮実装しておいて、横入りの作業は後で実装しますねという順番にしておいて、忘れてそうだったらスルーです。
■第6章 実行力を高める
一番いい方法が抜けてますね。
できる人、やったことがある人に聞くのが一番です。
できれば目の前でやってもらう。
これ本当にみんななんでやらないんだろ?って思います。
教える方も一回やっておけばいいのに、それを惜しむから後で何回も質問されてかえって時間がかかる。
やっている人の作業を見る。ソース管理ソフトがあるなら、該当処理の差分を見るだけでも何をやっているのかわかると思うのですが。
実行力を付けたいなら自分の方法でやるのだけでなく、他人のやり方でも作業ができるようになるといいです。
■第7章 なぜ改善は続かない?
人は改善した後の世界を知らない。
良くも悪くもそうなんですよ。並行世界なんてないから。
改善して出た結果に満足しても良いけど、元の方が良い結果が出たかもしれないという感覚はもった方が良いです。そんなのわからないからね。
意識の高い仲良しクラブにしないというのは面白い。
経験上意識が高い系は結果出す能力低いよなって思います。
実際の仕事はやってみないとわからないことが多くて、愚直にやってみて比べてみるしかない。
考えて改善しようという人たちには向いてない。
意識高い人より、文句はあるけど黙って対応している人に任せた方が良いことが多い。
現実を知っているほうがやくにたつのです。
ドラマみたいな解決策があるような問題点は少なくて、「部長がこれをやると嫌がるから」みたいな問題への対応のほうが多い。
それを改善するのではなく、受け入れて飲み込めないと改善していかない。意識高い人はそんなやり方納得できないでしょう。
改善なんて押し付けられたからしょうがなく嫌々やるもので、自発的にやるものではない。そんなの嘘ですよ。
■第8章 チームをドライブさせる
大事なのは改善はできる範囲で止めるということ。
実際の作業の中で10年やり続けてもできる範囲で収める。
そうじゃないと続かない。それができない人が多い。
一気に変えない。あんまり変えすぎると、どこが成功してどこが失敗してるのかがわからない。
それはかなりまずい状態。
実行する前はこうすれば万事上手くいくはずだって考えがちだけど、そんな風にいくわけがない。
効果的な改善であっても、従来のやり方から変化させたのなら失敗する方が普通で、改善前よりも悪い状況になったとしても即失敗だと思わない。
あくまで総合的に改善のやり方を評価して、続けるかどうかを決める必要があります。
■最後に
あまり書評っぽくならなかなったですね。
ワークライフバランスに対応した働き方への変化は必要なんですよ。
でもそれを現実的に実現させていくためには、もっと手前で解決しないといけない問題が多い。
※経営者や株主の意識から変えないと。会社なんて上からしか変えられないのです。
本書は正しい手段や考え方を手に入れるということでは適しているのですが、それを生かせる状況にすることが非常に困難なんですよね。
王道は自分のできる範囲から変えていく。
小さくてもいいからリーダーになってできる範囲で変えていって、それを広げるしかないです。
それができる立場にある人には、有意義な本だと思います。