プロマネのブログと言いながらあんまりプロマネっぽい 記事をあげていませんね。
ちょっと反省ということで今回はプロマネっぽいネタを。
あなたがデレクターや プロジェクトマネージャーになった時に、いわゆる外注さんであったり派遣さんと協力して開発を進めていくのはよくあることだと思います。
そういう作業を行う上での注意事項をあげていきたいと思います。
ちゃんとした情報を挙げているブログはたくさんありますから、ゲーム開発者として理解しやすいという観点で進めていきます。
■第1 外注と派遣の区別をつけよう
そんなん区別つくだろ。社内で作業やっているのが派遣で、社外でやってるのが外注でしょ?というのは若干の間違い。
社内で作業をお願いしている人であっても外注さんである可能性はありますし、まああんまりないでしょうが社外で作業をしてもらっていても派遣の可能性もあります。
派遣というのはこういう作業形態だよね、外注というのはこういう作業形態だよね、という理想はあります。
ただ現実と一致していないことが多いので注意が必要。
基本的に判断材料としては契約条件を見るしかないのです。
契約体系としては下記のものがあります。
・派遣契約
・請負契約
・準委任契約
いわゆる派遣といっていいのは「派遣契約」の時だけです。
「請負契約」と「準委任契約」が俗にいう外注ということになります。
まあいきなりタイトルを否定するような内容になりますが、そもそも派遣と外注という分け方自体がまずいわけですね。
「派遣契約」、「請負契約」、「準委任契約」という分け方をしないといけないわけです。
■第2 三つの契約の違い
では契約の違いに関して説明していきます。
チームメンバーの一人としてリーダーが随時指示を出していく形式でのプロジェクト参加を想定しているのであれば、「派遣契約」で進めていれば問題がありません。
じゃあ全部「派遣契約」でいいじゃん、ということを思うかもしれませんが下記のような問題があります。
①仕事をさぼっている人であっても費用が発生する
②派遣契約のほうが費用が高くなることが多い
①に関してですが、派遣契約で作業をしてもらっている方がイラスト1か月で作成します!という約束をしたとします。で1か月契約で作業を始めてもらって、1か月後何も納品物がなかったとします。この場合も基本的に費用は支払わなくてはいけないのです。
まあ実際にはそんな状況になったら派遣会社が「お金いりません」というか「できるまで頑張ります」ということになることは多いですが。ただ悪質な派遣会社であればそういうリスクがあると言う訳です。
②に関しては、どんな会社でも派遣に人を出すことができるわけではないのです。労働者派遣事業は許可制なのです。許可を取るために会社として負担すること制約がたくさんあります。なので自然と派遣契約の費用のほうが高くなります。また需要としても派遣のほうが高くなりがちですしね。
では一方「請負契約」、「準委任契約」はどんな感じなのか?
割と多い外の会社さんに決まった作業をお願いするのが「請負契約」です。こちらは仕事を依頼された側に完成義務があることが多いです。先ほどの例のようにイラストが1か月出来上がってない場合は、費用を支払わなくても大丈夫です。
一番わかりくいのが「準委任契約」。こちらの契約は「仕事の完成ではなく、一定の事務処理行為を行うことを約する契約」となります。
「派遣契約」との違いは、仕事をお願いする方に労働者派遣の許可がなくても可能です。
■第3 理想と現実の乖離
じゃあなんで理想と現実が乖離しているのか、という話をしていきますね。
疑問となるのは「派遣契約」、「請負契約」、「準委任契約」ってどうやって使い分けるの?ということです。
理想論を言えばチーム員と同じように仕事をしてほしいときには「派遣契約」です。
やる仕事が決まってるのであれば「請負契約」です。
本来会社の外の人にお仕事をお願いするのであれば、やる仕事を決めて「請負契約」でやるべきです。
でもまあ、プロジェクト開始直後には作るものがしっかり決まっていないことが多いですよね?
また社外でお仕事をお願いする場合、社内の管理コストも上がってしまいます。
なので「派遣契約」が重宝されるわけです。ただし、コストが抑えられて技術力が高い派遣の方はまずいません!そういう場合にはコストか技術力どちらかを妥協するしかないわけです。
それが嫌だ、と言い始めると矛盾が生じてきます。見つかりません、ということならあきらめがつくのですが「請負契約」、「準委任契約」であれば技術力の高い方が割と低コストで見つかったりするのです。
なぜかというと、たまたまその会社さんで手が空いている人がいる、ということが出てくることがあるからですね。
プロジェクトが急に中止になったり、次のプロジェクトを始めることができるのが半年後だったり、そういう場合には低コストであっても仕事を受けた方が良い場合があるためです。
会社外で制作をしてもえばいい場合は「請負契約」、社内で制作してもらいたいときは「準委任契約」と使い分けるわけです。
ただし、さらにここでも別の矛盾が発生します。前に言った通り「準委任契約」は完成義務がありません。「準委任契約」で稟議などを通そうとするときに「完成義務がないのはリスクがあるから許可できない」という話が出てきてしまったりします。
じゃあ社外で「請負契約」にしましょう、というとチームから社内で作業してもらえないと開発効率が下がる、作るものが確定しているわけではないがもう作業を始めないと間に合わない、というような話が出るわけです。
こういう状況で社内で作業をやってもらう場合や、作るものが確定していない場合に「請負契約」になっていたりすることが出てくるのです。
また逆に「準委任契約」の外注さんに対して完成義務を迫ってしまったりするわけです。
これが開発の現場でよく起きる矛盾になります。
■第4 じゃあどうすればいいのか
まず自分が管理系の作業を任されたとしたら、管理するメンバーが社内のメンバーなのか社外のメンバーなのかを確認しましょう。
次に管理するメンバーがどの契約なのかを確認しましょう。そしてその契約内容に即した作業のお願いをすることです。
いちばん気を付けないといけないのは「準委任契約」、「請負契約」なのに社内で作業をやってくれている人に対してです。特にフリーの方で社内で作業やられている方は勘違いしがちなので気を付けましょう。
分からないところがあれば、社内の経験者の方に聞く、プラス法務担当の方に確認するということが必要になってくるかと思います。
最悪「偽装請負」とみなされた場合、大問題に発展する可能性があります。割と経験のある上司が「偽装請負」になるような指示を出してしまうこともあります。自身を守るためにも知識を付けることは必要です。
偽装請負
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。 免責事項 もお読みください。 偽装請負(ぎそううけおい)とは、 日本において、契約が 業務請負、 業務委託、 委任契約もしくは 個人事業主であるのに実態が労働者供給あるいは供給された労働者の使役、または
社外の「請負契約」でお願いした時にも注意点があります。
ソフトウェアのライセンスの発行が必要な時に契約内容にそれが考慮されていないともめる基になります。
ライセンスがないまま開発を進めてしまって、リリース後問題になることもあります。
割と最近はチャットソフトも充実しているので、リモートワークもやりやすくなったかと思います。
それでも各社で使えるネットワーク制限などもありますので、他の外注さんがそのソフトウェアを使えたからといって新しい外注さんが対応可能かどうかは面倒くさがらずちゃんと都度確認した方がいいですね。
派遣さんや 外注さんに対して適切な対応ができるかどうかということは、その割り当てられた方のパフォーマンスに大きく影響を与えてきます。
揉め事を 起こして多少プロジェクトが遅延するくらいならまだいいですが、訴訟沙汰になることも ありますので本当に気をつけてください。
昔は結構 無理難題がまかり通っていたのですが、もうそういう時代ではなくなりました。
自分が分かってるかどうか確認したいのであれば、応用情報技術者試験の該当問題をやってみるのをお勧めいたします。
わかりやすさを中心に書きましたので抜けているところ、誤解を生んでいるところもあるかと思います。ご意見ご指摘をいただけますと非常に助かります。
今回の執筆にあたり下記のサイトを参考にさせていただきました。
SEが知っておくべき請負契約・準委任契約・派遣契約の違い | wecoplus
システム開発には契約が必ずついて回ります。「事業会社」「SIer」「人貸し」に関わらず、外部から仕事を請けたり、外部に仕事を発注している限りは必ずです。でも、多くの開発者は、自分がどういった契約形態で働いているのか、またその契約に伴って何が変わるのかについて意識できている人が非常に少ないのが現実です。 ...
請負契約と準委任契約の相違点 - BUSINESS LAWYERS
請負契約は、 請負人が仕事を完成することを約し、注文者がこれに対して報酬を支払うことを内容とする契約です。一方、 準委任契約は、 仕事の完成ではなく、一定の事務処理行為を行うことを約する契約 です。両契約の相違点には以下のようなものがあります。 請負契約は 仕事の完成に対して報酬が支払われますが(民法632条)、 準委任契約では、 ...
個人的には複数の資料を見て理解を深めた経緯もありますので、皆さんにもお勧めいたします。
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