第1部のチェイサーゲームの感想を書いていこうと思います!
第2部が始まる前にと思っていたのですが思ったよりも時間がかかってしまいました。
漫画のレビューのときはあんまりネタバレしないようにしているのですが、本作品に関しては実際の開発者としての突込みが業界を目指している人の何かの役に立てばということでネタバレを気にせず書いていきます!
ネタバレが嫌な人は回れ右でお願いしますね。
本作を作成されている方は私がこれからするような突込みはわかってて、それでもわかりやすくするために描いていることはわかっています。
それでも実際の私の経験なんかを含めて感想を書いていくことで、そういうゲーム開発の現場もあるんだって思っていただければ!
ネタバレありとはいえ、内容を細かく説明したりはしないので、予め作品を読んでないとちんぷんかんぷんな内容になっております。
業界の末席にいるものとして、作品を楽しむためにプラスになるようなことを出していきたいですね!
■第1話 クリエイターは嘘をつく
新堂くんがシニアに昇格するところからスタートですんえ。
9年目で役職が付くっていうことは、業界的にはあんまり早くないかな。
こんなに初々しい感じにはならないかと。
大体以下みたいなパターンが多いです
・早めに役職が付く人
→2、3年目
・普通のペース
→10年目くらい
・全くつかない人
→ずっと役職なし
意外にも全くつかない人のほうが多いのではないでしょうかね。
私は自慢ですが4年目の頭にはディレクターだったので早い方ですね。
プログラマーやってたんですが、次のプロジェクトからディレクターねって急に言われて強制ジョブチェンジでした。
実際ほとんどディレクターがやる仕事をしていたので、そんなに不安はなかった記憶ですねえ。
自分と同じくらいでディレクターになっている人がいなかったので、そういう大変さがありました。
先輩を使う感じになったし。
キャリアが浅いうちに役職が付くと、いろいろと私の能力を試してくる人がいるのでそれも面倒でした。
「プログラマー出身でもディレクターなんだからちゃんとデザインも見れるよね?」みたいな感じです。
ちなみに自分は出世したからと言って給料はいきなり上がりませんでした。
給料の上がり方は別途書きましょうかね
デベロッパーの説明がありますね。デベロッパーは一般的には浸透していない言葉ですかね。
1本のゲーム開発費10億?うーん、確かにみんなが気にしている大作はそんな感じですが今でも2~3億くらいが多いですよ。
10億円だと70人規模で3年くらいかな。それくらいの規模のタイトルを回せる人ってディレクター経験者でもほとんどいない印象です。
プロジェクトの管理をガントチャートでやってますね。
ウォーターフォールなの?デベロッパーだとしょうがないかもですが。
それでもちゃんとしたパブリッシャーさんはアジャイルの制作でも対応してくれることが多いです。
・ゲームデザイナー
・プログラマー
・アーティスト
・サウンド
という分けかたをしていますが、この構成は開発効率が悪いんですよね。
でも管理する方がこういう分け方をしていないとできなかったりするので、しょうがない側面もあります。
穴井さんが「ちゃんと進捗を確認しろよ」っていますが、これできない人多いですね。
割と中堅でもできない人が多いです。
今日の作業が2%って原因とか聞きにくいな…
報告時にもっと突っ込んで聞かないといけないですね。報連相とかいうけど管理側が突っ込んで聞くからちゃんと報告してくれるようになるものです。
聞かないと報告しなくていいもんだと思うしね。
別に飲みに行けとは言わないのですが、普段からちゃんとコミュニケーションをとっているとこういう聞きにくい状況のときにも突っ込んで聞けます。
あと作業内容を把握しておかないと、自分自身困っちゃいますよ。
例えばAIの仕事を他人振るんだとしたら、それに関する知識を仕入れていないようではだめだということです。
わかる範囲で、できる範囲でやっていればちゃんと伝わるものです。大事なのは手を抜いていないこと、一緒に仕事をしている人の納得感があること
プレイングマネージャーは大変です
管理が大変なのは自分の予定通りに進められないからです。
対処方法としては途中でもいいから見せてもらう。
マメに何回も見たほうがいい。嫌がる人もいますが癖にしてしまうことですね。
最初にしっかりした指示を出せるに越したことはないのですが、それをやるために指示が遅れるくらいなら大まかな指示を出しておいて細かくチェックする方がいいです。
結果うまくいっているチームはそれができていることが多いですね。
データの修正の連続で手が付けられなかった…、ですか。
これは管理側が悪いかな。何で修正があるっていうことを把握していないんだろ。
把握していれば修正は他のメンバーにふるとか、先に優先度の高いものをやってもらうとかあるでしょうに。
タスクを100%として報告しておきます!
まあたまにやりますが。100%にはしないですかね、半分くらいでも95%とかはやったりします(笑)
安心させるのが目的なところもありますし、ほんとにまずそうなところは早めに報告ですが。
第1話は盛りだくさんですねー。
クリエーターは嘘をつくというか、相手を喜ばそうとして盛っちゃうんですよね。50%しかできていないのをを95%できてると報告するみたいなかんじで。
管理する人はそれを見越して予定立てるのが普通だったりします。
■第二話 助けてと言えないクリエーター
chatworkとLINEを使っているのですね。
チャットツールは分けない方がいいんですけどねー
あと仕事で使うものと生活で使うものは分けておかないと、精神的に参っているときにとてもきつくなります。
責任のなすりつけ合いしてますね。
意味ないよねー。基本失敗に対しては怒らないようにしています。
報告してもらえないのが一番まずいですからね。
こういう話の時にはもっとフランクにやらないとです。
つまり穴井君の態度が悪い!
植田さんの進捗が遅いと感じた時に穴井さんに相談していたら作業の変更もできたんだ!
まさにその通りですね。
助けてと言えないクリエーターはダメなんだよ、と言っていますが現場の環境が言えるような雰囲気にならないとダメです!
あなたが周りに頼らないと周りももあなたに頼れなくなります。
私も若いころは固いことが強さだと思ってましたが、柔軟なことも重要です
『1日1時間でいいから別のチームの時間を割いてもらう』
この判断いいですね。
現場に納得感があって、やろうって思ってもらえれば作業は進むんですよ。
でも、10年選手でこんな感じだったら困るなー、という印象です。
10年たって役職がつかない人なんて現場見たことない人は馬鹿にするかもしれませんが、みんな能力高いことが多いですよ。
実際は役職がついていない人でも、もっとうまくやってくれていることのほうが多いかと思います。
■第3話 二種類のクリエイター
期日を伸ばしてほしいというデザイナー
「アニメがお仕事」という漫画があるのですがこちらでも似たような話が出ていましたね。
こういう状況で困ったことがある人は是非読んでほしい!けど今はチェイサーゲームの感想です。
私としては最低限できていたらそれで良しにしちゃいます。
だって一度延ばすと癖になっちゃうので。
6時間しか与えられてなくてその中でベストを尽くしたんだったら、しょうがなくないですか?
本人が手を抜いていたのならその報いを受けるべきですし、指示だした方の見積もりが悪いのならそちらが報いを受けるべきですし。
へんに期限を延ばすとそのあたりの責任がわからなくなって、改善していかないのでよくないのです。
実際ユーザーにとっては大して差がなかったりしますしね。
まずは最低限出せるようなものを作ってそれをブラッシュアップ。時間が無くなったらあきらめる!
その中でベストを尽くせばよいかと
作品の質も量も上げたいのであれば、質が悪くなっても作業ペースを絶対落とさないことです。
スピードを落とさなければ質のほうはそのうちついてくることがありますが、質にこだわってスピードを落としている人は絶対必要な量を作れるようになりません。
私が元いた会社はスケジュールがとても厳しかったですね。
時間がないときにデザインの人が必ずやっていたのが、描いたものに1本センターラインを引くんです。
これをやるだけでバランスの良し悪しやが見えてきます。しっかりデザインを見れないときもこれをやる、やらないだけで全然変わります。
魚川君が自分が引き受けますって言っていますね。
あー、デザインではないですが自分もこんなやり方してましたね。
良くないですよー。結局指示を出す方も、遅れちゃった人も成長しないから。
で、負担に感じるようになって仲が悪くなったりするんですよ(笑)。
飲みに行って解決しちゃってますね。
プロジェクト単位で考えると正しい行動です。
それでうまくいくのなら飲みに行くべきですよね。結構解決するし。
飲みにケーションを否定する人がいますがね。まあ酒がなくてもランチでもいいんですが。
勝手にデータを上書きした生意気な後輩と、後輩にデータを上書きされたショボい先輩って、どっちも悪いに決まっているじゃないですかー
■第4話 クリエイターのジレンマ
『確かにこのデータはできでいうとせいぜい60点だ
だが俺はそれをわかってOKを出した』
『そのレベルのデータにOK出していることにも納得できません』
っていうやり取りがありますね。
おおー、やり直ししろよとかさせろよとかは流石に言ったことがないかなあ。
『60点を100点にすることが我々の仕事じゃないですか?』
いやクオリティはそろっていることのほうが重要かなあ。
でも全部の60点を100点にしてくれるというのであればやらせちゃうかな。
60点のものがあったり100点のものがあったりする作品より、全部60点でそろっている方がクオリティは高く見えますよ。
『先輩たちよりも、俺の方が勝っている
作り上げたゲームが面白いかどうかはユーザーによって証明される』
『だからこそ作り手は強い意志が必要だ』
確かにそうなんですが、ユーザーもいろいろですよ
開発員に無理させて作ったゲームなんかやりたくないっていうユーザーさんも増えたんですよね。
実際ユーザーさんが自分の仕事でそういうことで困っているとしたら、そう感じるのも無理ないかなと思います。
昔より「作っている本人が本人が楽しんで作っていないとつまらない」、っていう考えになってきている気がします。
気合根性で作業を終わらせるのはどうかと思います。
自分が新人に言うのは、「10年続けても大丈夫な作業のペースで仕事してね」って言っています。
大事なのはその人がこなしてくれる作成量があてになることですよ。
■第5話 初めての採用面接
インターンの面接の話ですね。
私もこのあたりは担当実際の仕事で担当したりしています。
で「ひと通り見て明らかに対象外だと思うものを選ぶ」というやり方ですが、正しいと思いますね。
見どころがある人はちゃんと目が行きますし、そういう人は時間をかけてみることになりますから。
私は誤字脱字、字が汚いは気にせず内容だけを見て合否を判断していきます。
たぶんだめそうだけどひょっとしたらという人も残します。
それでも、これはあってみたいという人はほとんどいないですよ。
面接に関しては下記の記事でまとめていたりしますので参考にー。
面接する側と受ける側のメモ(面接をする側編)
■第6話 世の中とズレているクリエイター
面接がどんどん進んでいきますね。
実際にはもっとひどい感じです。思いはあっても伝えてくれない人がほとんどで、自分から伝えない人は落とす、とかやっていたら残らないのでこちらからしっかりと聞きださないといけないです。
そうですね、ほとんどが7人目の神田君みたいな感じです。
そんなに大変じゃなくて、ゲームが好きだ、作ることが好きだ、というところだけ伝えてくれればいいんですがね。難しく考えすぎ。変なことで悪印象を持ったりもしないですよ。現場にはもっと変な人たちがいますから。
最近は黒田君みたいな子はとんと見てないですね。自分は彼みたいな感じだったので彼が出ている間中背中がむずがゆかったです。
タツヤ君の専門学校時代の回想が入っていますね。
松山さんが「関わりたい」という言葉に切れているシーンがありますが、昔の開発ってこんな感じでしたねえ。
怖い人がいて、ちょっと変なことを言うと怒鳴られる。
今ではほとんど見なくなりました。やりやすくはなっていると思うのですが、ユーザーに自分の作ったものを出すときには、そういう人に対応するような慎重さが必要です。
その能力をどこかで鍛えたり気を付けないといけないことを考えると、昔の方が良かったのかもしれません。
専門学校時代に教えに来た開発者の人が怒ることってあったんですよ。でもその分本気で考えてくれてたと思うんですよね。
怒られると怖いけど、それでも質問していた人たちは今でも現場で活躍しています。
『世の中とズレているのはオレ達なんだよ!
誰もがゲーム業界にあこがれてくれた時代はとっくに終わった』
確かにそうですよねー。でもまだ恵まれている方だと思うんですよ。
現役の自分たちがそれにアグラかいてちゃだめですよね
ちょっと長くなったのでここで切ります!