他のチームでステークスホルダーに振り回されている人たちをよく見ます。
彼らの主張によれば、ステークスホルダーが無理難題を言ってきている、ということらしいんですが本当にそうなんでしょうかね。
個人的にステークスホルダーともめている時点でプロジェクトの進め方がへたくそなんじゃないかと思うんですよね。
自分自身が気を付けているステークスホルダーとの付き合い方を記載しておきます。
■ちゃんとした能力があることよりも、安心させることが重要
ステークスホルダーとのやり取りに困っている人たちが良く言うのは「自分たちはちゃんとやっている!」ということです。
説明を聞いてみると確かにそこに間違いがなかったりはするのですが、同業者の自分が説明を聞いてやっと理解できるようなもの他業種の人が理解できるわけないよなあと思うパターンが多いです。
ステークスホルダーから理解が得られないから自分たちの価値観でより良い方向に進めていく。
そんなことやってもいつまでたっても理解はされないですよ?ステークスホルダーが理解できるようなことをしてあげないと!
確かにステークスホルダーに理解させるための資料の作成や、テストなんかは本質的ではないかもしれません。
それに時間をとられるのは無駄でしょう。
それでも他の会社、業種の人と連携するメリットは大きいはずで、それを継続するためには必要な手順です。
相手が何を求めているか、をちゃんと聞きだして理解して提出しましょう。
相手が望んでいるのは相手が理解できる安心材料です。
■決裁の手続きをやってよかったこと
決裁や稟議の手続きがあります。
「決裁」の意味と、混同しやすい「決済」「稟議」との違い | キャリアパーク[ビジネス]
会社員などとして働いていると、ときおり「決裁」という言葉に遭遇します。周りから聞こえてくる分には、文脈からなんとなく意味が想像できそうな言葉ですが、書類作成などでいざ自分が使う側になると、想像しただけの意味では使えないものです。 ビジネスシーンなどにおいて、決裁とはどのような意味の言葉なのでしょうか。本記事ではその意味と、「決裁」と混同しがちな「決済」「稟議」という言葉との違いをご紹介します。
各会社によって多少やり方や言葉が違うのですが、下記の意味で使用しています。
・長たる者が、部下の差し出した案の採否を決めること。
例えば、こういうゲームを作るので1億使いますよ、という決裁(文章)を出すわけです
それが稟議されて、承認が下りれば正式にそのプロジェクトが開始されます。
逆にいうとそれがない状態でゲーム作っていると会社に無断で会社のお金を使っていることになります。
定時後に残ってやってるかいいじゃないか!っていっても会社の機材を使用しているわけですし、そこで倒れたら保険の適用がされるわけです。
本来はちゃんと決裁を通ってからやるべきなんですよ。
で、ある程度偉くなってくるとこの決裁書と呼ばれるものを書かなくてはならなくなります。
ただ「使います」、というだけではなく、
・いくら使うか
・何に使うか
・その使用方法は妥当性があるのか?
・利益を回収できるのか、その根拠は?
・法令に違反していないか
・完了期間は?
というようなことを記載しなくてはなりません。
いやあ、ゲーム開発の中で一番やりたくない仕事ですね。
こういったやりとりはゲーム開発に限らず、どこの会社にもあるんですよ。
雑な説明ですが「監査」ってそういうやりとりがおかしくないか確認する作業です。
ここで言いたいことなんですが、この決裁書を書くようになってからステークスホルダーとのやり取りの精度が上がってきたがします。
■ステークスホルダーが気にしていること
ステークスホルダーが気にしていることは、大体において自分たちが自分の会社で出した決裁書からずれていないかということです。
そしてそのほとんどが
・費用
・スケジュール
・法令
に関するものです。
なのでステークスホルダーに話す内容はこの三点を踏まえておく必要があります。
基本はどれも予定から外れなければいいわけです。
そうであればそのように説明する必要があります。
ただ、そういっていられないパターンもあるでしょう。
まあ法令がどうでもいいという会社はほぼないので、費用とスケジュールに絞って話をしますね。
費用も全く上振れがまずいパターンがありますが、予算に余裕がある場合であればそこを許容されることがあります。
スケジュールにおいても、「厳守」のパターンと「期内ならOK」というようなパターンとがあります。
またスケジュールが遅れるくらいなら費用の上積みもしょうがない、ということもあります。
現状のステークスホルダーがどの条件なのかを理解して、それに合わせた提案をする必要があります。
ただし「できるだけ早く」、「予定の変更が再度ないこと」を精度高く検討したうえで、その根拠も合わせて提案しないといけないですけどね。
どちらにしても、相手がどういった決裁を経て現在の作業にあたっているかをイメージして仕事を進めるのは作業の精度を上げるのに役立ちます。
■主導権の取り方
主導権の取り方は考えたほうがいいです。
ステークスホルダーともめた時に「自分たちに責任があるパターン」と「相手側に責任があるパターン」があります。
大体にして責任がある方が調査を行ったり、解決方法を提示します。
でもまあ、どっちに責任があるかわからないことも多いです。
私はちょっとでも自分たちに責任があるかもと思ったら、調査、提案を自分たちでやるようにしています。
面倒なんですが、相手にやらせておいて自分たちの責任だったときは本当に不利になります。
また調査を行った方が、自分たちに有利な提案を行うことができることが多いです。
A、Bという解決案があって、どちらも似たような結果なのに工数が全然違っていたら、工数が少ない方でやりたいですよね?
これが相手側に解決方法をゆだねていたら工数が多い方で提案されてしまうこともあるわけです。
このような調査の積み重ねは後々のプロジェクトの理解度にもつながっていきます。
主体性を持って調べている方が理解度は高まります。逆にいうと相手に任せていると訳が分からなくなっていくんです。
ここで主導権をとってしまえば、自分たちの都合がいい形でプロジェクトを進めることが可能になっていきます。
こうなると頼りにされることはあっても、もめることはなくなるんですよね。
あと相手に選択権を与えることも有効です。
A、Bという解決案があって、どちらも似たような結果で似たような工数のパターンがあるじゃないですか。
そういう時にはステークスホルダーに決めてもらいます。相手側が決めた事柄に関しては、後から問題が出てきたとしてももめることはほぼないです。
そういった対応を各所でしておくことで、主導権をとりつつもステークスホルダーと「一緒に作り上げている」という状況を作ることができます。
この状態になると開発を進めることが途端に楽になります。
なのでステークスホルダーともめている、という時点でプロジェクトの進め方がへたくそなんだなあ、と思うわけです。
■偉そうなことを書いていますが
今までにたくさん失敗していますし、今でもこの対応は失敗だなあ、と思うことはよくおこります。
それでも上記のようなことに気を付けるようになってからは、かなり減ってきたと思いますね。
ステークスホルダーが何を気にしているのか?ということに関しては本当に多種多様でそれをすべて考慮することは難しいでしょう。
それでもちょっとした工夫で減らすことはできます。
あとは経験者に聞くことも重要ですね。
そのステークスホルダーと以前に仕事をしたことがある人、そのステークスホルダーと同業種の人と仕事がある人にはぜひ話をしてみるべきです。
大概において、ステークスホルダーともめる人はそういった助言をもらうことをやらない人たちなんですよねー。
ゲームでもステークスホルダーとの関連性でも、質を高めるためにはちょっとした工夫の積み重ねが重要です!
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