こちらの記事を読んだ雑感です。現役ディレクターの一意見です。
■AAAタイトルに必要な費用
現状いわゆるAAAタイトルをPS4で作るような場合、私であれば下記くらいの人員が欲しいです。
1~2年目:プランナー10名、プログラマー20名、デザイナー10名
3~5年目:プランナー10名、プログラマー20名、デザイナー20名
1人月100万だとしてざっと27.6億円。
実際はシナリオや音声、BGM、管理高ストなどなどかかりますので30億円くらいですかね。
AAAタイトルであればマーケティングなんかもちゃんと予算、予定を組まないといけないですしね。
とんでもない金額かと思うのですが、これでAAAタイトルが作れるのであれば万々歳です。
現世代の開発コストはAAAゲームにおいて(マーケティングコストを除き)8000万ドル(約85億円)から1億5000万ドル(約160億円)に達しており、完成までに最長5年かかっていると説明。
これくらいの予算が現実的ですね。
明らかに売れているソフトのシリーズであれば人も集められますが、そうでなければ人集めすらもままなりません。
■通常のソフトがたどる道
最初からオリジナル作品でAAAタイトルを作成するのは危なすぎますね。
大体においてそんな予算は通らないと思いますが。
まずは5億円くらいでタイトルを作って、それが世界で何百万本か売れたら次くらいに上記の予算が組めるくらいのイメージです。
5億でゲームを作ろうと思うと
1年目:プランナー5名、プログラマー10名、デザイナー5名
この体制で2年半で完成、となります。
まあカツカツですが、それなりに面白いタイトルは作れないことはないという感じですね。
■30億円のソフトをリクープするために
6000円のソフトの粗利が大体3000円
30億円÷3000円=100万本位
まあ実際には100万本売れるソフトならいろいろと別の利益が出たりしますが。
※グッズが売れたり、攻略本が売れたり。
それでも広告宣伝費は賄えないでしょうからね。
■何を作るべきなのか
「次世代では、予算を倍にして成長できるとは思えません。業界全体として腰を据えて、“何を作るのか? プレイヤーが期待するものは何か? ストーリーを描き伝えるべきことを伝えるための最適な方法は?”ということを考えなければならないと思います」
これはまさにそうですね。何がユーザーにとって価値があることなのかを考えなければいけません。
個人的にはもっといろんなゲームが出てほしいと思っています。
そして面白かったタイトルは続編を作ってほしいですね。
2年に一度は続編が出てほしいですね。
そういうペースじゃないと、子供時代に遊ばれる機会が少なくなってしまうのです。
最初のドラクエなんて毎年のように出ていましたから。
そういうペースで出すことができていたので定番のコンテンツとして定着することができたのです。
仮面ライダーは毎年やっていますし、ウイイレやパワプロもそうです。
そういったコンテンツは強くて代替作品が出にくいのです。
まさに継続は力です。
■無限ループ?
①ただ継続して出すのは難しく、それを成し遂げたのがバージョンアップのあるネトゲですね。
②その要素のいいところ取りしたのがソーシャルゲームになります。
③良いところ取りしたゲームばかりだとつまらないのでゲーム性の高いゲームが売れる。
④ゲーム性の高いゲームは継続的に出ないので継続性のあるゲームが売れる。
これからは①~④がループしていくんですかね。
作る側としては継続性のあるゲームを作るか、短いスパンで出し続けるゲームを作るか、一か八かAAAタイトルを作るか、の3択を迫られますね。
どれもしんどかったりはします。
■制作時の工夫
何に費用が掛かるかって基本デザインデータですよ。
それを動かすためにプログラマが必要です。
プログラマはそんなに確保できないので設計を受け持つことができたり、スクリプトが組めるプランナを雇います。
デザインデータは自動作成ができるようになるかもですね。
プログラマはユーザーが望むレベルであれば、本体の機能が上がっていけばスクリプトの対応だけで制作できるようになるかもしれません。
そう考えるとプランナと最小限のプログラマとデザイナだけで作成はできるかもしれません。
でも今日明日にできる話ではないですからね。
まだまだ自分たちで作る必要があるかと思います。
■結論として
雑感なのでちゃんとした結論がなく恐縮ではあるのですが。
良くも悪くも必要なのは価値のあるユーザー体験だとは思います。
それがあれば長時間プレイできなくても、予算のかかったデザインリソースがなくてもよいわけです。
ただ良いデザインリソースがあると価値のあるユーザー体験は作りやすいです。
結局は何を選んで何を捨てるかの話ですよね。
『鬼滅の刃』がすごく売れたじゃないですか。
あれは強烈なユーザー体験があったからなのだと思います。
リソースの力がなくてもそういうものは作れると思うんですよね。
予算が確保できないからAAAを作れない、作ってももうからない、ではなく単純に与えられた条件の中で一番いいものを作ればいいだけだと思います。