書評:作画添削教室

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ずっと気になっていた表題の本を読みましたので書評を行います!

■個人的感想

私としてはかなり良かったです!

自分のバックボーンを書いておくと、プログラム出身のPM、ディレクターです。

こういう経歴だとあんまりデザインの監修をしないものです。

本職のデザイナーの方に任せることが多いですよね。

でも私は結構デザイン監修までやるほうなんですよ。

現実的な問題としてあまり売り上げのないソーシャルゲームタイトルだと、そこにお金がかけられないことがありました。

自分でやるしかないというパターンですね。

あとディレクターとしてデザインの質に責任が持てないと行き詰まることが多いので、やっぱり基礎知識があったほうがいいです。

上がってきたイラストに対してフィードバックを返さないといけないのですが、最初のころには苦労したんですよ。

■デザイナーさんに伝わる言葉

最初のころは自分の要望が全然伝わらない!

頭の中にイメージはあるのですが、具体的にデザイナーさんに伝わる言葉として形にできない!

例えば「もう少し派手にしてほしい」という要望だったとするじゃないですか。

その言葉だけだと受け取る人によって千差万別です。

・エフェクトを強めにかけてほしい

・ポーズにもう少しメリハリをつけてほしい

・服装にもっと装飾を多くしてほしい

具体的な言葉にするとこういったものになると思います。

最初のころはこういった言葉にするだけでも大変な作業でした。

自分の頭の中で「なんでこれが派手だと思えていないのか」という理由探しが出来ていないと具体的な指示に落とせないんですよね。

それこそたくさんイラストを見て、何度もやり取りを重ねて今では随分と伝わる言葉が頭の中にあります。

※初期のころに迷惑をかけたイラストレーターさんごめんなさい!

■この本を読むと何がいいのか

さらに「伝わりやすい」言葉が増えました。

具体的に「キャラクターの柔らかさを表現してほしい」のであれば「体が何かの物と接触していた時にへこんでいれば柔らかく見えるので、そういった要素を入れてください」、というような語彙が増えた感じです。

イラスト制作の監修をしないといけない立場の人には、すごいお勧めですね。

こちらの本を購入するにあたり、レビューで気になっているものがありました。

この本の内容は個人の感覚によるところが多くて、あまり参考にならない」というものです。

そういう内容の本である可能性もあるな、と思いました。

最初から絵がうまい人は絵の教え方が下手だったりしますし。

でもこの本に関して、私にはこの感想は当てはまりませんでした。

しかしながらそういった感想が出るのもある意味仕方がないかな、とも思っています。

キャラクターに対して修正指示の赤線を入れているところがあります。

何故それを直しているのかという説明はほとんどありません。

基礎的なことがわかってないと、たしかになんじゃこれはと思うのも仕方ないかな。

ある程度デッサンや人物の骨格の知識があるとなんでその赤が入っているのかがわかります。

後は両手両足の長さが違っていた時に違和感がわかる、パースが付いたときに身体の大きさの比率がおかしいとわかる、という能力もいりますかね。

そのあたりがわからない状態だと、この本をいきなり読むのはつらいでしょうね。

■アイレベルに関して

イラストを監修しているとパースに関しての違和感が結構出てきます。

身体は斜めを向いているのに、持っている剣だけ真正面を向いていたりすると私はすごく気になります。

服はダボついているのにボタンだけまっすぐついていたり。

キャラクターの角度と背景の角度があっていなかったり。

このあたりの違和感を伝えるときには補助線を引いたりしていたのですが、これが伝わらない!

本書を読んでわかったのですが、アイレベルが正しく設定されていないからなんですよね。

アイレベルがここにあれば、こういうパースになって、ここのオブジェクトの角度がおかしい、という指示が具体的にできる。

それができるようになったのもこの本を読んだおかげでした。

プロのイラストレーターになりたい人は、特にこれを気にしたほうがいいですよ。

ラノベの表紙を描けるような人でも、できていない人はできていないのです!

出来ていなくてもいいイラストはたくさんありますが、ゲームは一つのイラストであっても何度も表示されることが多いのでちょっとした狂いに気が付きやすいのです。

なので他の媒体で使用されるものよりも、整合性に関してはうるさくなります。

キャラクターが描ける人は多いのですよ、でも静物が入ってきたり背景を一緒に書くと途端に破綻してしまう人が多い。

ゲーム開発でイラストレーターになりたい人は、アイレベルに関してちゃんと対応できていると良いですよ。

■ディレクターを目指す人にはお勧め!

正直自分で作成するだけの人であれば、本書の知識はそんなに必要でもないかなと思います。

でもアートディレクションを行う人であれば、この本の内容がわかっているといいでしょう。

インディーズでゲームを作る、デザインだけ誰かに作ってもらうとしましょう。

この本の内容が理解できていない状態だと、よっぽど良いデザイナーさんに巡り合わない限りモメるか可能性が高いです。

発注する前に自分が正しい作業指示が出せるかどうかを判断する座教科書として、非常に有効な内容ではないでしょうか。

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