お話の舞台の時は移って2003年春。展開が早いですね。
六本木ヒルズがオープンしてIT系の企業が注目を集め始めたころですね。
ゲーム業界としてはまだまだ大手が強い時代。
スクウェアとエニックスが合併したのもこの年です。
当時はバリバリの開発会社であるスクウェアと、開発を外部に任せるスタイルのエニックスということで水と油のような感じで大丈夫かな?と思ったものです。
同時にお互いの弱点を補填してるなあとも思っていて、今考えるとそちらの方が当たっていた感じですね。
ゲーム会社としては任天堂に次ぐIPホルダーとなっています。
さあそんな時代にタツヤたちはどう成長していくのか!
■高校卒業
ホームを旅立っています。
マコと二人暮らしですか。若い男女の二人暮らしは傍から見ていてちょっとドキドキしますね。
まあそんなロマンチックな感じはなくて、学費を稼ぎながら生活も成り立たせないといけないという現実に迫られています。
当時はまだバイトで稼ぐこともできた時代ではなかと思いますね。
私も大学生時代は大体年間100万円くらいは稼いでいました。
それでも親の援助なく生活も成り立たせて、専門学校の勉強も頑張っているタツヤたちはえらい!
専門学校に入ると分かるのですが、何かと理由をつけて頑張らない人たちが出てきます。
入学時にやる気に満ちた人でも、頑張らない人たちに流されていく人も多いのですが、まあ就職の時に失敗しますね。
人生においては頑張らないといけない時期というものがあります。
そこを外してしまうとクリエイティブな仕事に就くのは難しいでしょうね。
友達を選別するというのはあまり良いことではないかもしれませんが、専門学校での友達は選んだほうがいいかと思います。
■面接
「君はなにをやったの」
はは、これまたわたしのトラウマをえぐられた感じですね。
私もまさにこれ。
私の専門学校ではチーム制作をしていたのですが、そういう開発をするのであればどうしてもチームリーダーが必要なのです。
誰かがまとめないと、若い集団の意見はまとまらない。
誰もやりたがらないから学校側が指名してきて無理やりリーダーやらされていました。
結果面接でかなりの低評価。
自分よりプログラムが出来ない、仕様も組めないという人たちが採用されているところを私は落ちるわけです。
タツヤになんか共感するところがあるなというのは、これだったのですね。
でもそれもある意味しょうがない。ゲーム開発は常に結果を出すことが求められるので何か具体的に、「これは頑張らないと!」というものも用意しておかないと。
私は専門学校の推薦で半ば無理やり押し込んでもらいました。
■面接官が採用能力にたけているわけではない
大概面接官というのは開発の中で技術的能力の高い人だったりします。
だからと言って他人の評価が正しく行えるわけではないのですよ。
それぞれ別の能力ですから。
いい加減ゲーム業界も見る目がある人に任せる、ということをすればいいのになと思いますね。
この人能力高いけど採用する人全部はずれじゃん、という人を何人も見てきました。
だからまあ、ゲーム業界を目指す人はゲームを作る能力を上げるということと、採用される能力は別だと割り切って考えるといいかと思います。
ただ基本はゲーム作り能力を上げることが重要ですよ!
就職がうまくいかなくてもゲームを作る能力が高ければそのうち日の目を見ます。
逆に大企業に入ってもゲームを作る能力が低ければ、成功は難しいです。
希望の会社に入りたいという気持ちも大事ですが、それだけにとらわれないほうがいいかと思います。
■オレは何をやっていたんだ?
タツヤは思い悩んでいますが、別に悲観することでもないのでは?と思います。
実際専門学校のチームリーダーの経験は大きいと思いますよ。
ディレクターの目線が多少ともある新人というのは役に立つものです。
いきなり小さいチーム任された時にも、そういった経験があるのとないのとでは雲泥ですから。
何十年も続く開発者人生の1年の出来事として、そこまで悲観する物ではないかと思いますね。
あとユウキが合格していますが、じつはユウキみたいな人も合格しにくいです。
デザインならデザイン、プログラムならプログラムに特化している人のほうが採用されやすいですね。
実際現場だと最初は役割が重複するようなところを任されたりしませんから。
ある程度プログラムがわかるデザインの人なんて、追々は大活躍したりするのですが上についた人のさじ加減でそれが花開く時期は変わってしまいます。
デザイナーにデザイン以外やらせるのはかわいそうだから絶対やらせない、という人もいますので。
そういう人は優しい人なんですが、ある意味他人を見る目がないわけです。
得てしてそういう人のほうが評価が高かったりして、それはそれでゲーム業界の残念なところだったりします。
■ゴン爺亡くなる
47話でその兆候は出ていたのですが、もはやという感じですか。
タツヤがCC2さんを落ちてユウキに夢を託すようなことを言っています。
ある意味あきらめているような感じなのですが、結果タツヤは一浪してCC2さんに入社しているはずなのです。
おそらくゴン爺が亡くなったことで思うところが出てくるのでは!
少なからず私の周りでも亡くなった方がいます。
人の死というのは自分の人生を改めて考えさせてくれるものです。
コミュニケーションを避けようという人が増えてきましたが、クリエイティブな職業を選んでいるひとでそういう体質の人は少し頼りにならないのでは?と思っています。
たとえ楽しいだけの子供向けのゲームであっても、どこか社会を切り取ったような作品になるはずです。
コミュニケーションを避けてしまう人だと、引き出しが少なくなると思うのですけどね。
まあ予想はこれくらいにして、タツヤたちがゴン爺の死を迎えてどのように成長していくのかを楽しみに次話を待ちましょう!