ゲームプランナーは、ディレクターになれない!隠されたクラスチェンジ条件とは|かえるD|note
最近、新米のディレクターにディレクションを0から説明している。noteではいろいろディレクターについて書いてみたが、ディレクターの持つジレンマは、ある程度成長したタイミングで出てくる問題で、初期に感じるものではないため、説明としては不十分だと感じた。なので、今回はもう少しディレクター初心者、または将来ディレクターになりたい人向けに全体像を把握できるよう書いてみる。 ...
上記いつも良記事を上げている"かえるD"のブログです。
こちらの記事で思うところがあり、かなり辛辣な意見になってしまうのでどうしようかと思いましたがモヤモヤするので書いておきます。
■かえるDについて
良い記事をいくつか出されているのですが、何となくゲームを面白くする部分に関して問題があるのでは?と思っていました。
ちょっと今回の記事で、その理由がわかったような気がします。
その理由に関して書いていきたいと思います。
■記事について
大まかに素晴らしい記事です。
かえるDの文章をまとめる力、文章の構成は素晴らしいですね。それはその通りだと思います。
私はこんな風にわかりやすく説明できないので、本当うらやましく思います。
■プランナーからディレクターの成長パスと現実
このルートはほとんどの人が通り抜けられない。
いや、通り抜けられるんですよ。通り抜けられる人の見極めができていないだけです。
たしかにプログラマ出身の方が抜けられる割合は多いですが、実際に面白いゲームを作れるか否かの話で考えると、プランナールートの人の方が確率が高いような気がします。
ここでの根本問題なのですが、「頑張っているプランナー」をディレクターにしようとしているから駄目なんだと予想しています。
「面白いものを作るプランナー」をディレクターにする場合は、そんなに無理のあるルートではないです。
かえるDの抱えている問題は、「面白いものを作るプランナー」を見極めることができないからじゃないのでしょうか。
だから指名した人がルートを通り抜けられないんです。
100m10秒台しか出せない人は何回走っても9秒台は出せないんですよ。結果を出したいのであれば100m9秒台を出せる人に走らせるしかないです。
ただどの人が100m9秒台を出せるのかを見極めないといけない。
一生懸命練習をしている人を選びがちなんですが、そこは能力を見極めないといけないですよ。
OKを出したとしよう。次にまた似たような問題が出てくる。各所で矛盾したところが現れ、それを「決定」する。でも、この「もぐらたたき」は終わらない。次は「決定」と「決定」の間で矛盾をする。収まればよいのだが、なぜか「決定」しなくてはならない仕事は増えていく。今まで通りにやっているはずなのに。何を間違えたのだろう。
ここが特にわからないんですよね。
こんな風にループに入ることないですよ。
最初から完璧なUIの仕様書は作れないけれども大まかなワイヤーフレームを作らせて、全般的にできてきたら最終決定にすればいいだけでしょ。
私は最初に決め打ちしたところで後で変わってしまうことはほとんどないです。で、別に出来上がったものがおもしろくなかったこともほとんどないです。
それができるかできないかが、ディレクターができるかどうかなんですよ。
「面白く」する、もしくは「高クオリティ」にする力があるか否かなんです。
おそらくかえるDはできないんですよね。100m9秒台出せないんですよ。まずその真実を直視しないと何も改善しないです。
ベテランを付けてそれなりにチーム員が納得する感じで進めることは可能ですよね。
ベテランは個別ではそれまでの経験で「面白く」だったり、「高クオリティ」だったりを実現してくれるので。
でもそれの組み合わせがコンテンツとしていいかどうかは別問題ですよー。
プロジェクトはうまくいったけれどもゲーム面白くないんだけど、っていうのはこういうつくり方しているから起きるんです。
■ゲームディレクターの階段
この説明も考え方もあっていると思います。
でも「面白く」も「高クオリティ」も持っていない人にやらせても意味がないです。
順番が逆。というか無駄です。
PMスキルは無くても面白くなっているな、高クオリティになっているなと感じたら周りは勝手に動いてくれます。
チームのマインド管理も、別に私は必要だと思ったことないですね。
私と作っている人は、作っている最中何やっているかわからないって言います。
ゲーム作成なんてメンバーにとっては絵柄がわからない馬鹿でかいジグソーパズルみたいなもんで、各担当にそのピースをそこにおいてくれって言ってもなんでそこに置くのかなんてわからないですよ。
最終的に完成したところで、ああ、こういう絵だったのかってわかるものなので途中で説明してもらわからない。
それでも部分的に出来上がっていったところが面白かったり高クオリティだったら納得して作業を進めます。
面白いゲームUXを作るためには、作り直しを何度も要求される。
いや、ダメですよこの考え方。
それでしかできないんだったらディレクターやっちゃダメ、迷惑!
・今作ろうとしているゲームはなんで面白いのか
・どうすればそれが実現できるのか
がわかっているからプロジェクトを開始したんじゃないんですかね?
目的地も航海方法もわからないまま船を出発させちゃだめですよ。そりゃ遭難しますって。
かえるDの話がまずいなって思う一番のポイントはここです。
ゲームを面白くするのは情熱でも愛でもなく、技術と工夫です。それがあるから何億もかかるプロジェクトをスタートさせることができるのです。
■PMスキルに関して
PMスキルは普通に勉強すればつくじゃないですか。
基本情報の勉強して、応用情報の勉強して、プロジェクトマネージャー試験の勉強すればよくないです?
それぞれ1年ずつくらいかかると思いますが、PMになるのに別途3年間の勉強ができないというのであれば、その人はPMになっても通用しないですよ。
ゲーム会社でPMを名乗る人に出くわすことがありますが、大体は「面白く」「高クオリティ」にする力が重要だということをわかっていないことが多いですね。
各作業の時間のかけ方ってフラットにするのが良いわけでもないし、みんなの言い分を聞くのがいいわけでもないです。
全員が反対しても面白くなる方を選択しないといけない。
ゲームの場合は、PMはそれができないと意味がないんです。
でもまあ、それができる人はディレクターやった方がいいですよね。
なので私はディレクターをやりつつPMの知識を勉強していますし、兼任してやります。
もしくは盲目的についてきてくれる人を雇うかですね。
正しくプロジェクト管理できるPMを付ければ成功確率が上がる!って思っちゃっている会社は早晩破たんしていきますよ。
■ソーシャルゲームが流行る以前の開発現場
ソーシャルゲームが出てくる前まではこういう考え方が一般的だったんですよ。
ディレクターがお山の大将で、その人ににらまれたらチームでの居場所がなくなる。
それが良かったかどうかは置いておいて、面白さを追求するのであればそのやり方が重要です。
ソーシャルゲームが出てきてから、やり方の工夫だけでどうにかなるという風潮になりました。
それは事実そうで、それなりの売り上げを上げているかと思います。
ただしやり方で売り上げを上げる方法は、どこかで限界が来るんですよ。
才能のある人が積み上げてきた面白くする方法や高クオリティにする方法を言語化して、システム化して踏襲しているだけなので。
それがやりつくされたらまた独自に面白くできる人、高クオリティにできる人が重要になります。
それが見極めできません、ということであればまあ成功しなくて当たりまですよ。
だってうまい歌い方がわかっていて、それができるだけで売れる歌手になったりしないじゃないですか。
写実的な絵だからって人気でないですよね?
ゲームだけ特別だったりしないですよ。
■いま日本のゲーム業界に起きているまずいことは
ソーシャルゲームがはやり始めたころに、単純に面白さを実現できる人を冷遇しちゃったんですよね。
転職状況を見ているとなんであの人が落ちてこの人が受かっているんだ、ということがたくさん起きていました。
で、実際にソーシャルゲームでやり方の工夫がやりつくされた今だと、冷遇していた会社がどんどんつぶれているわけです。
ソーシャルゲームだけやっている会社どんどんつぶれているじゃないですか。
どうすればそれが避けられるか?簡単なんですけど難しいですね。
ソーシャルゲームで売り上げを出してきた人が責任者になっていたりしますよね。
そうではなくて、ちゃんと面白さを実現する人を責任者にするべきなんです。
でも、実際問題売り上げを出してきた人を降格させて、新たにつれてきた人を責任者にしたりできないじゃないですか。
また面白さを実現できる人をどうやって選定するかという問題もあります。
なのでこれから残る会社は
・たまたま面白さを実現できる人を雇えた
・昔から面白さを実現できる人を確保していた
のどちらかになるのだと思います。
もうすでに方向転換が必要で、今までの責任者よりも「面白さを実現できる人」を優遇します、と経営者が言えるかどうかにかかってくる気はします。
でもまあ既存である程度ソーシャルゲームだけで成功している会社は、そういった方向転換は無理ですよね。
■どのように起死回生するべきなのか
かえるDにたいしてはディスっているだけなので、ちょっと申し訳ないですね。
でもかえるDにしても「面白く」も「高クオリティ」も作れない会社にとっても、こういった真実に目を向けることが重要だと思います。
だって本質じゃないですか。本質に対しての能力が高い人たちが残っていくのなんて、当たり前ですよ。
遅れているのであれば、走る。届かないのであればジャンプする、できる人との差を詰める以外に解決方法はありません。
挽回したいのであれば、できるようになるための努力を始めればいいだけです。
私はゲーム好きなら名前を出せばわかるようなヒットメーカーの人と何人も仕事をしたことがあります。
話をしただけの人であればもっとです。
そういう機会があれば、「面白く」や「高クオリティ」のためにどうしているのかということを根掘り葉掘り聞きます。
それをするかしないかだけでも全然変わるんですけどね。