はてな匿名だダイアリーにちょっと気になる投稿が上がっていました
・ゲームを作ろうと思っている小中高校生の皆様へ
https://anond.hatelabo.jp/20200312230745
こちらの記事は投稿者により消えてしまうことがあるので要約すると、
・投稿主はゲーム開発のプランナー
・香川のゲームプレイの規制に関して思うところがある
・投稿主は家庭がゲーム禁止だったため、今その影響で苦労している
・「ゲームで遊んでいない人間はゲームが作れなくなります。だから、ゲームを遊ぶようにしてください。」といいたい
という感じです。
社内でも少し話題になったこともあり、私の意見を書いていきたいと思います。
まあ例によって、安全なところから反撃してこない人をボコボコにするあれです。
■香川の「ネット・ゲーム依存症対策条例」に関して
こちらもざっくり
・18歳未満は平日60分まで、休日90分まで
・中学生以下は午後9時まで、高校生は午後10時まで
という内容。
個人的には、そんなにひどい規制ではないかなあと思っています。
私はゲームが好きで小学校低学年からゲームをプレイしています。
どれくらいやっていたかという目安としては、ファミコン版の『マイティボンジャック』と『カイの冒険』をクリアしている、程度です。
・カイの冒険
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%81%AE%E5%86%92%E9%99%BA
まあ内容がわかっている人には、結構やっているね、という印象を持ってもらえるのではないかと思います。
平日60分で休日90分なら、週に8時間ですよね。私が学生のころは、そんなにやってないんじゃないかなあ。
初代ドラクエって20時間ちょっとくらいでクリアできるはずで、それで1ヵ月くらいかかっているので週6、7時間くらいですよね。
夢中になってプレイしているときでそれくらい、新作ゲームが買えてない時期なんかはもっと減っているので平均もっと少ないと思います。
それでも当時の友人の中ではゲーム時間は多かった方だと思います。
そんなものだったんですよ、もともと。
作る側として考えると、学生さんの貴重な1時間に選んでもらえるゲームを作ればいいだけですよね?
元々それくらいのつもりで作成しているので。
ただ、これが決まる経緯のあたりには根拠もないと思いますし、そこに関しては不当だと思います。
不自然なルールはすぐに廃れると思いますので。
実際高校生までゲーム禁止だったけど、大学から反動でものすごくゲームプレイをして業界に入った、というひとは結構います。
■投稿主に関して
現役のディレクターとして言いたいことは
・あなたがプランナーとして能力が発揮できていないこととゲームのプレイ時間は無関係
・ゲームプレイ時間を原因に考えているから改善しない
・ゲーム作るのにゲームプレイ経験から作ろうというのは手段が狭すぎない?
というところですかね。
ありていに言うと、あなたのクリエイターとしての資質とか能力が低いだけですよ、と。
高難易度のゲームを遊ばなさすぎた結果、高難易度のゲームを作ることができなくなっていました。
最初に高難易度のゲーム作った人はどうやって作ったの?
そういう人は転生者か何かだって言いたいんですかね。
私は高校生時代はバンドや、ラジオ投稿に夢中でした。
厳しい意見ですが高校時代に打ち込んでいたものがオタク趣味だけの人は、ゲームを作る上での選択肢が少ないです。
ラジオ投稿で他人を楽しませるための知識の土台ができましたね。
よりによって受験生の時の夏休みに有志で映画を作ったりしています。
監督をやらせてもらって文化祭で最優秀賞取れたのですが、そういう経験の方が今のゲーム作りに生きています。
クリエーターなんて無から有を生み出すからそうなんでしょう。
まあ実際は本当の無から有を生み出すのではないのですがね。
■無から有を生み出すのではなく
元々ビデオゲームなんてなかったわけです。
それでもゲームはどんどん出てきたわけでしょ?
完全な無から有を生み出しているわけではなく、他のものから転用しているわけです。
映画からストーリー手法を編み出したり、ボードゲームからビデオゲームに使える要素を抽出したり。
基本別のものの面白さを、ゲームの形で使えるもに置き換えているだけなんですよ。
別のゲームジャンルからだって転用が可能です。
私は競馬ゲームを作っていたことがあるのですが、当時のディレクターは
「もともと戦闘シミュレーション作りたかったんだけど、競馬ゲーム作れって言われたから好きだった戦闘シミュレーションを競馬ゲームにした」
と教えてくれました。
ああ、そういうつくり方もあるのねって感心したものです。
その後、周りの何年も一緒にやっている人たちを差し置いて、私がそのシリーズのメインプランナーになります。
本質がわかっていたからですね。
高難易度のゲームだって、例えばFPSの高難易度のゲームの要素を別のジャンルに持っていくことも可能なんですよ。
何が難しいと感じさせているのか、難しいのに面白いと感じさせる要素は何か、別のジャンルに持っていくためには何を変更すればよいか。
そんなのを考え付くのはプランナーだったらできて当たり前。
できないのに雇ってもらっていることに感謝した方がいいですね。
まあ、教えてもらえなかった、ということはかわいそうだと思うのですが、周りで出世している同期がいるならその人たちはできているのでしょう。
「なんで聞かなかったの?」
投稿者ができない人である理由はそこにあるのです。
■ディレクターまで行ける人とは
私の周りでディレクターになったような人は、ゲーム以外の知識が豊富な人が多いです。
漫画、アニメ、映画、のようなコンテンツばかりではなく、スポーツが得意でディレクターになるような人だっています。
基本他人を楽しませようとして生きた人が、なっているのです。
他人を楽しませることができる人が、ゲームという手段をとっているだけです。
ゲームをプレイしているからできるようになっているわけではありません!
ゲームのプレイ時間は私はそんなに多くないですね。
空き時間は常にゲームを作るための勉強に充てています。
ご飯と風呂と家族との時間以外は全部ゲーム作るための勉強時間です。
映画見ているときだってマンガ見ているときだって、ゲームに流用できないかってことばっかり考えています。
純粋に映画やマンガとして楽しめたことはないですよ。ゲームを作るための勉強としてはものすごく楽しいですが。
私くらいやってみてから、できるできないの話はしてほしいなあ、と思います。
私よりやっている人はたくさんいますから。